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【坂口至徳の科学の現場を歩く】魚も人間並み能力…仲間を“顔”で識別 世界初、大阪市大が確認…目印は色模様、0・5秒で

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【坂口至徳の科学の現場を歩く】
魚も人間並み能力…仲間を“顔”で識別 世界初、大阪市大が確認…目印は色模様、0・5秒で

 仲間かどうか。顔を手掛かりに見分ける能力は社会生活を円滑に営むうえで欠かせない。ヒトはもちろん、チンパンジーなど霊長類、群れで生活するほ乳類、カラスなど鳥類で顔認識をすることが知られはじめていて、社会性のある行動と深い関係があることも示されている。動物にとって、真っ先に目につく顔は重要な情報伝達のツールだ。魚類も視覚を使って識別しているとされているが、体のどの部分を認識しているか不明だった。

 大阪市立大学大学院理学研究科の幸田正典教授らの研究グループは、大きな家族のような群れで定住し、縄張りを持つ性質がある魚は、顔に相当する部分の色模様の違いで仲間と見知らぬ個体を識別していることを世界で初めて実験で確かめた。この成果は米科学誌「プロスワン」の電子版に発表された。

 実験に使ったのは、アフリカ東部のタンガニーカ湖に住む魚類であるカワスズメの一種「プルチャー」。大きな家族のような群を作り、縄張りを守るため、見知らぬ相手に対しては非常に攻撃的な行動を取るが、顔見知りには寛容な性質がある。顔に相当する部分には明瞭な色彩模様があり、それが個体により微妙に異なるのが特徴だ(写真)。

 こうしたことから、幸田教授らは、プルチャーでは、この色彩模様が識別の目印になっているのではないかと発想した。まず、モニター画面に顔見知りのタイプの画像と、顔の模様や形が異なる見知らぬタイプの画像を表すようにして、プルチャーが生息している水槽を介して見せたところ、顔見知りに対してはすぐに警戒を解いて近寄るが、見知らぬタイプには長時間警戒して離れていた。プルチャーはモニター画像でも識別ができ、実験が成立することがわかった。

 そこで、顔(色模様)を識別しているかどうか調べるため、見知ったタイプの顔と他の個体の全身像を組み合わせた画像と、他の顔と見知った全身像で作った画像の2種類を新たに作り、同様の実験を行った。計4種類の画像を1分間にわたり見せた結果、見知った顔には計10秒-18秒程度で攻撃行動を止めたのに対し、他の顔に対しては計35秒以上攻撃行動を続けた。全身像の違いは影響がなかった。つまり、顔だけで、判断していることになる。

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