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【西論】「気概」なき国は滅ぶ 大人の「事なかれ主義」なら問題…組み体操見直し

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【西論】
「気概」なき国は滅ぶ 大人の「事なかれ主義」なら問題…組み体操見直し

過去に起きた組み体操中の主な事故 過去に起きた組み体操中の主な事故

 ガツン-。鈍い音が聞こえた気がした。前半終了間際、五郎丸歩選手が見せたタックル。トップスピードで駆けるスコットランドの選手を、トライ寸前でタッチラインの外にはじき飛ばした。ラグビーのワールドカップで印象に残ったシーンの一つだ。

 激しい肉弾戦。倒れてもすぐ起き上がり、また突っ込んでいく。にわかファンからすれば、防具もつけずに怖くないのかと不思議で、その勇気はいったいどこからくるのかと思った。

 大西鐵之祐が著した「闘争の倫理」(鉄筆文庫)を読んだ。大西は早稲田大学ラグビー部、ラグビー日本代表の監督を務めた。体格差で劣る日本が欧米に勝つための理論を構築し、実践した。1968年のニュージーランド遠征でオールブラックス・ジュニアを破った快挙で知られる伝説の名将だ。

 本書で、ラグビーには命にかかわる危険と恐怖があることを前提に「だから全身全霊で打ち込む」と述べている。そのうえでスポーツとは、問題解決のため目標を設定し、理論を立て、組織で立ち向かう知性的な行動であるとする。一方で危険や恐怖、人間関係という非合理をコントロールすることを学ぶ。目標達成で得られる歓喜を「頂上経験」と呼び、それが人間の精神を成長させるのだという。

 スポーツの教育的価値を強調、それが人づくり、国づくりの基本にもなると訴えた名著だ。

▲「頂上経験」

 大阪府八尾市の中学校で今年9月、組み体操のピラミッドが崩れて生徒が骨折する事故が起きた。その後、同市教委の調べで全市立小中学校では過去10年間に139人が組み体操の本番や練習で骨折していたこともわかった。

 「骨を折ったぐらいで大げさな」と思う人がいるかもしれない。ただ最近の組み体操はひと昔前のものとは違う。八尾の場合も1~3年生の男子157人で10段組み、高さ7メートル近い「巨大ピラミッド」に挑戦していた。巨大化で危険が増しており、各地で見直しを求める声が出始めている。

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