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広島市、生活保護の「違法」天引き8億円 県が認定し一部を返還

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広島市、生活保護の「違法」天引き8億円 県が認定し一部を返還

生活保護費の返還の流れ。天引きは不正受給の場合だけしか認められない

 生活保護費の過払い金の返還をめぐり、広島市が、法律上認められていない毎月の支給額からの「天引き」による徴収を行っていることが11日、市などへの取材で分かった。これまでの天引き額は総額約8億円に上るという。広島県は天引きを「違法」としており、指摘を受けた市は、天引きの中止を含め今後の対応を検討している。

 生活保護法では、天引きは不正受給などの例外を除いて禁じられ、自治体は過払いした場合、受給者から自主返還を求めることが原則となっている。

 広島市によると、同市は平成19年から、他の自治体を参考に天引きを実施。天引きによる徴収総額は8億円程度に達するという。

 同市の50代の男性は26年7月、天引きは不当として同法に基づき、広島県に審査請求をしたところ、県が今年8月に天引きを「違法」と判断した。

 男性は妻と娘の3人暮らしで、約20年前から断続的に生活保護費を受け取っていた。

 体調が優れず仕事を休むこともあり、月収は少ないときで数万円程度になることもあった。

 22年以降、過去の過払い分として毎月の生活保護費から4千円を天引きされていたが、県の判断を受け、同市は天引き分の計17万6千円を男性に返還することを決めた。

 県の判断を受けた同市の担当者は、「天引きでなければ返還のたびに手続きが必要。事務手続きの簡素化や、受給者の利便性も考えて本人の同意を得て天引きしてきた」と説明。男性は「なぜ同意したのか覚えていない」と話している。

 市は今後、男性に自主返還を求めていく方針だが、他のケースについては対応を検討している。

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