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【西論】戦没者遺骨収集 戦友を家族の元へ…国は責務果たせ

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【西論】
戦没者遺骨収集 戦友を家族の元へ…国は責務果たせ

「丸山道」奥地のコロブブ地区で、骨片とともに発見された眼鏡と万年筆=ソロモン諸島ガダルカナル島(甘利慈撮影)

 じっとりと湿気がこもる薄暗い密林内。流れ落ちる汗をぬぐおうともせず、一心に土を掘り起こして目をこらす。9月上旬、第二次大戦の激戦地、ガダルカナル島(ソロモン諸島)で、20~64歳の男女12人が、この地で亡くなった日本軍将兵の遺骨を収集した。

 遺骨は褐色で朽ちかけているが、「ようやく帰れる。待っていたんだぞ」と語りかけてくるようだった。読経の中、参加者は遺骨に静かに手を合わせた。

 戦後70年間、遺骨が置き去りにされているのは、約7千人分が未収容のガ島だけではない。南方の島々、東南アジアや中国大陸、シベリア、北朝鮮…。外地戦没者の半数近い約113万人分に上る。

「他人任せ」の実情

 「ガ島に眠る遺骨に背を向けたら、自分の気持ちや言葉はうそになる」。商社マンから転じて実家の寺院を継いだ際、戦没者の慰霊を行うと決意したという僧侶、崎津寛光さん(43)。平成23年に一般から隊員を募り、自主派遣隊を結成、今年で活動は5回目になる。今では高齢化が進む遺族や生還者の代わりに現地に赴く。

 「政府派遣」の名の下、民間の善意と行動力に頼りきっている遺骨収集活動。国家の責務とはほど遠い「他人任せ」が実情だ。ガ島でも活動は民間団体が支えている。崎津さんらも1人約35万円の私費を投じて参加した。

 15年前に学生だった私が遺骨収集に参加し始めた当時も、限られた人のみが知る活動だった。これまでにシベリアや硫黄島、ニューギニアなどで収集に参加したが、政府派遣団に同行する厚生労働省の職員の姿勢はけっして積極的とはいえなかった。

 「おやじは国のために死んだのに、国はなぜ遺骨を放っておくのか」「何としても戦友を連れ帰りたい」。悔しさをにじませた同行の遺族や生還者の多くもその後、亡くなってしまった。

 昭和27年に始まった遺骨収集事業を拡充しようという機運は戦後何度か高まったが、「戦争はすべて悪」というレッテルに身を縮めるように、政府の対応は場当たり的で消極的に過ぎた。活動に区切りを付けようという意図さえ見られた。帰還済みの約127万人分も復員時などに同僚が持ち帰ったものが大部分で、国として収容した遺骨は約34万人分にすぎない。

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