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【大阪W選】都構想、再び大阪揺らす…公約化に市民ら歓迎、戸惑い

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【大阪W選】
都構想、再び大阪揺らす…公約化に市民ら歓迎、戸惑い

 大阪府知事・大阪市長のダブル選挙(11月22日投開票)で、大阪維新の会が5月の住民投票で廃案となった「大阪都構想」を再び公約にすることが波紋を広げている。代表の橋下徹大阪市長は「バージョンアップする」と強気だが、「非維新」の各党は「市民をばかにしている」と反発。市民の間でも歓迎と戸惑いが交錯している。大阪市民を二分した住民投票から4カ月、都構想が再び大阪を揺らしている。

 「大改革を一発の住民投票で実現できることはありえない」

 15日夜に開かれた大阪維新の政治資金パーティー。支援者ら約3千人の前で、橋下氏は都構想再挑戦への理解を求めた。会場にいた大阪市阿倍野区の無職男性(72)は「住民投票は僅差で負けて悔しかった。ぜひやってもらいたい」と興奮気味に語った。

 5月17日の住民投票では賛成が約49・6%、反対が約50・4%となり、反対が0・8ポイント差で上回った。直後から維新内で再挑戦を求める声が上がっていたが、橋下氏や大阪維新幹事長の松井一郎府知事は当初は結果を受け入れる姿勢をみせていた。

 しかし3カ月後の8月27日、松井氏は産経新聞のインタビューで初めてダブル選での都構想の公約化を明言。住民投票後、自民党が主導する形で発足した府と大阪市、堺市の「大阪戦略調整会議」の停滞ぶりを批判した上で「制度を変えなければ、二重行政は解決できない」と再挑戦の理由を説明した。

 「多くの金や時間をかけた住民投票の結果を重く受け止めるべきだ」。大阪市長選への出馬の意向を表明した自民の柳本顕(あきら)・大阪市議団幹事長は強く批判。花谷充(みつ)愉(よし)・大阪府議団幹事長も「大阪市民をばかにしている」と憤る。

 ただ「住民投票のように公明、民主、共産などの各党と『反都構想』で一枚岩になりやすくなった」(自民府連関係者)という思わぬ“副作用”もあるようで、ダブル選へ向けて対決ムードが高まっている。

 市民の受け止め方はさまざまだ。住民投票で反対票を投じた大阪市旭区の女性会社員(55)は「あかんかったらもう1回って…。結果を軽く考え過ぎている」と非難する。

 一方、大阪市中央区の自営業の男性(67)は「住民投票では感情論で投票した人もいると思う」と分析。維新側が制度設計をバージョンアップさせる意向であることを踏まえ、「もう一度考えるチャンスになる」と期待を寄せる。

 同府寝屋川市の主婦(55)は大阪市民対象の住民投票に参加できず、歯がゆい思いをしていた。今度は知事選を通じて都構想の是非を投じることができると歓迎し、「しっかり考えたい」と意欲的だ。

 ただ大阪維新がダブル選を制しても高いハードルが待ち構える。都構想の設計図である協定書を作り直し、府議会、大阪市議会で過半数の承認を得て住民投票を実施する-という手順を踏むことになり、自民など他党が反都構想で徹底抗戦することが予想される。

 「また首長と議会の対立が続くのは、改革を進めるのにプラスではない」。大阪府東大阪市の男性(68)は嘆く。

 是非を抜きに懸念を示す人も。大阪府守口市の税理士の男性(67)は大阪が抱える課題は多岐にわたると指摘したうえで、「都構想への賛否だけが争点になり、ほかの議論が置き去りにされてしまうのではないか」と話した。

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