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【坂口至徳の科学の現場を歩く】「ピザ型」人工タンパク質で世界最小の結晶 金属ナノ部品に道 理研・横浜市大

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【坂口至徳の科学の現場を歩く】
「ピザ型」人工タンパク質で世界最小の結晶 金属ナノ部品に道 理研・横浜市大

Aは2個のピザ型タンパク質(黄色、ピンク色)に挟まれて生じた塩化カドミウムのナノ結晶。Bはナノ結晶の拡大図で、カドミウムイオン(赤)と塩化物イオン(緑)が金属と結合するアミノ酸のヒスチジン(H)を介して結晶化している。(理化学研究所提供)

 人の歯や骨など硬い組織はリン酸カルシウムという鉱物(バイオミネラル)で出来ている。同じ鉱物の炭酸カルシウムは貝殻の材料であり、真珠の光沢にも関わっている。このように生物がタンパク質を使い、巧みに鉱物をつくり出す機能をバイオミネラリゼーション(鉱物生成作用)と呼び、その精緻な仕組みをそっくり真似て、ナノ(10億分の1)メートルレベルの超微小な世界の物質生産に役立てる研究が盛んに行われている。

 こうした研究の流れの中で、理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センター(神戸市)のケム・ツァン・チームリーダーらと、横浜市立大学大学院生命医科学研究科のジェレミー・テイム教授らの共同研究グループは、金属と結合する人工のタンパク質を設計し、それを使って世界最小のナノサイズの結晶をつくることに成功した。

創薬、バイオセンサー開発などに期待

 作成したのは塩化カドミウムの結晶で、大きさは幅1・2-1・3ナノメートル、厚さ0・7ナノメートル。カドミウムイオン7個と塩化物(塩素)イオン12個が規則正しく、工具の六角形のナットのような形で配置されている。

 研究グループは、鉱物をつくる機能を持つタンパク質を人工的に設計。2014年にイタリア料理のピザの1切れのような扇形のタンパク質が6個、自発的に円形に組み合わさってできる「ピザ型人工タンパク質」の作成に世界で初めて成功した。

 今回の研究は、その人工タンパク質を改変し、一部のアミノ酸を金属と結合する性質を持つアミノ酸に変えるなどした。これに塩化カドミウムを加えると、扇型のタンパク質が集まって「ピザ型人工タンパク質」になりやすくなる上、そのタンパク質2個に両側を挟まれる形でナノ結晶が生じた。(図参照

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