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【関西の議論】医療用麻薬「事実無根のタブー視」(下)「依存症になる」の誤解蔓延 痛み治療が〝中毒〟にならないメカニズム

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【関西の議論】
医療用麻薬「事実無根のタブー視」(下)「依存症になる」の誤解蔓延 痛み治療が〝中毒〟にならないメカニズム

痛みは単に身体的なものにとどまらない。心理面、社会面、スピリチュアル面にまたがる全人的苦痛(トータルペイン)と捉えるのが今の主流となっている。それを和らげる有効な手立ての一つが「オピオイド鎮痛薬」だ

 トヨタ自動車のジュリー・ハンプ元常務役員による密輸事件で、にわかにクローズアップされた医療用麻薬のオキシコドン。今回のケースでは米国での乱用事情ばかりが強調されたが、日本国内では、がん患者の苦痛を取り除く有用な「オピオイド鎮痛薬」として、国が適正使用を推奨してきた経緯がある。麻薬という言葉のイメージから、患者や家族にはいまだ「依存症になる」と敬遠されがちだが、痛みのある状態で使えばそのリスクはないという。一体どんなメカニズムなのか。

「麻薬」とは何か

 オピオイドとは何かを考える前に、まず「麻薬」について整理しておこう。

 ヘロイン、コカイン…。人によってイメージするものは違うが、日本では「麻薬及び向精神薬取締法」で指定された物質が麻薬だ。厚生労働省によると、ヘロイン、コカインをはじめ現状ではちょうど170種類に及ぶ。

 大麻や覚醒剤はそれぞれ大麻取締法、覚せい剤取締法で規定され、法律用語としての麻薬ではない。ヘロインやモルヒネのもとになるあへん(ケシ)も同じだ(あへん法で規制)。

 そのうえで医薬品として承認されているものを医療用麻薬と呼んでいる。代表格はモルヒネ、オキシコドン、フェンタニルなど。いずれも強力な鎮痛作用がある。フェンタニルは出産の痛みを抑える「無痛分べん」でも使用されている。

 あへんは英語でオピウム(opium)。その成分の一つとしてモルヒネがあり、別の成分テバインから合成されるのがオキシコドンだ。あへん由来のこうした薬物を総称してオピオイドと呼んでいる。

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