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減り続ける「街の本屋さん」 ある老店主の“遺言” 「本を届けたい思い」受け継ぐ娘

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減り続ける「街の本屋さん」 ある老店主の“遺言” 「本を届けたい思い」受け継ぐ娘

隆祥館書店の店長・二村知子さん(右)=6日午後、大阪市中央区(沢野貴信撮影)

 街の小さな書店を守ってきたある老店主の“遺言”が共感を呼んでいる。今年2月に79歳で亡くなった「隆祥館(りゅうしょうかん)書店」(大阪市中央区安堂寺町)の二村善明さんが、生前つづった1800文字のメッセージ「今、書店として考えること」だ。書籍もインターネット通販が一般化し、雑誌や漫画の購入先もコンビニに移った今、昭和の風情が残る「街の本屋さん」は減り続ける。文化の発信地として地域のために何ができるか。そう考え行動してきた人生だった。そんな二村さんの遺志と書店は、娘がしっかりと受け継ぐ。(中井美樹)

子供たちが待ちかねた昭和の時代

 同店は、今ではマンションやオフィスビルが立ち並ぶ地域にたたずむ。約50平方メートルほどの店内には幅広いジャンルの書籍がひしめき、子供からお年寄りまで客は絶えない。

 開業は昭和27年。二村さんが2年前に書いた文章には昭和の時代を懐かしむ記述がある。

 《当時は自転車で仕入れに走っておりました、朝仕入れから帰って来ると店頭にそれを待ちかねる子供たちが歓声を上げて本や雑誌を受け取り付録も自分たちで挟み込むのを手伝ってくれ、買ってゆくというのが日常の時代さえありました》

 二村さんの口癖は「ターミナルの大きな書店とは違う役割がある」。地域の店としての役割を常に考え、マンションが増え始めた30年以上前から、仕事帰りの人が利用しやすいようにと夜11時まで営業している。

 平成21年に新型インフルエンザの感染拡大防止のため大阪市立の全小中学校が臨時休校となった際には、外出できない子供たちのために絵本1冊から自宅に届けた。

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