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【精神科女医のつぶやき】片田珠美(144)元少年A、なぜ彼は書いたのか

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【精神科女医のつぶやき】
片田珠美(144)元少年A、なぜ彼は書いたのか

書店で平積みにされた『絶歌』。両親の手記『「少年A」この子を生んで』も並べて売られていた

 こうした性倒錯者が書かずにはいられないのは、自己顕示欲や承認欲求だけでなく、活発な幻想の影響もあるように思われる。「性的殺人の動機の根底に潜んでいるのは、幻想である」とプロファイリングの創始者、ロバート・レスラーが述べているように、こういう殺人は、性幻想に駆り立てられていることが多い。

 あふれ出る特異な性幻想を実際の行為に移さずに処理しようとすれば、言葉で表現するしかなく、書くことによって行為化を防いでいるようなところもあるのではないか。

 殺害された被害者の方は二度と生き返らない。遺族の方々の悲しみや苦悩も察するにあまりある。今回の手記の出版が、ご遺族をさらに苦しめていることは言うまでもないだろう。当然、印税の一部をご遺族への賠償金支払いに充てるべきだが、私としてはAに書き続けてほしい。

 何よりも、再び罪を犯さないために。

 『他人の不幸を願う人』(中公新書ラクレ)に『怒れない人は損をする!』(新潮社)、『「自分が絶対正しい!」と思っている人に振り回されない方法』(大和書房)、『賢く「言い返す」技術』(三笠書房)と新刊の刊行が相次ぐ精神科医、片田珠美さん。25万部を突破した『他人を攻撃せずにはいられない人』(PHP新書)や『プライドが高くて迷惑な人』(同)などでもみせた鋭い人間観察眼で、世間を騒がせたニュースや日常のふとした出来事にも表れる人の心の動きを分析します。

 片田さんは昭和36(1961)年、広島県生まれ。大阪大医学部卒、京都大大学院人間・環境学研究科博士課程修了。他の著書に『無差別殺人の精神分析』(新潮選書)、『一億総うつ社会』(ちくま新書)、『なぜ、「怒る」のをやめられないのか』(光文社新書)、『正義という名の凶器』(ベスト新書)など。

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