産経WEST

【坂口至徳の科学の現場を歩く】パナ、東芝…究極エネ「人工」光合成、効率を大幅アップ 大阪市大、ギ酸の生成20倍超に

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新

【坂口至徳の科学の現場を歩く】
パナ、東芝…究極エネ「人工」光合成、効率を大幅アップ 大阪市大、ギ酸の生成20倍超に

人工補酵素メチルビオローゲンは二酸化炭素をギ酸に変換する反応を触媒するギ酸脱水素酵素(FDH)の活性を飛躍的に向上させる(天尾豊・大阪市立大教授提供)

 植物の光合成の巧妙な仕組みをそっくりまねて、環境浄化や有用物質の生産に役立てる人工光合成の研究が進んでいる。なにしろ、降り注ぐ太陽光のエネルギーを利用し、あらかじめ植物体内に取り込んだ二酸化炭素(CO2)と水(H2O)から、酸素(O2)と糖類など炭水化物を作り出すのだから、究極のクリーンエネルギー利用のシステムともいえる。

 光合成反応の段取りは、まず、光エネルギーにより、水を分解して酸素を発生する明反応が起きる。次いで、そのさい得られた電子が伝達されて、酵素などにより二酸化炭素と水から炭水化物が生成される暗反応に結びつく。地球の温暖化を防ぐための二酸化炭素の固定や有用物質の生産を実用化するには、この2段階の反応をいかに効率良く、簡素なシステムで進めるかが大きな課題だ。

 こうした研究の拠点である大阪市立大学人工光合成研究センターの天尾豊・複合先端研究機構教授(同センター所長)らの研究グループは、暗反応の過程で生じ、燃料や水素の貯蔵物質にもなるギ酸を従来の20倍以上の高効率で生産できるシステムを開発した。ギ酸をつくる酵素の反応を助ける人工の補酵素として「メチルビオローゲン」という物質を使ったもので、ギ酸をつくる方向に特化して反応を進めることを発見したのがきっかけ。広く研究されている金属触媒や分子触媒を使わずにバイオ系の物質だけでギ酸の効率的な生産システムができたのは初めてだ。

関連トピックス

「産経WEST」のランキング