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【一家言】ヒメマス釣りが幻の魚・クニマスを守る!? 人知れず生き続けてきた“絶滅種”保全の逆説 中坊徹次・京大名誉教授

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【一家言】
ヒメマス釣りが幻の魚・クニマスを守る!? 人知れず生き続けてきた“絶滅種”保全の逆説 中坊徹次・京大名誉教授

孵化して体長18センチほどに成長したクニマス(右)。左の水槽で泳ぐヒメマスと特徴が似ている=山梨県忍野村

 “幻の魚”と呼ばれ、昭和15年ごろに秋田県の田沢湖で絶滅したとされていたクニマスが山梨県・西湖で平成22年、70年ぶりに発見されたニュースをご記憶だろうか。絶滅種とされた魚が、人知れず他の場所で生き続けていた-という世界でもまれな“再発見”は世の中を沸かせたが、あれから約5年。クニマスのその後と、今後の保全について、発見者の中坊徹次・京都大学名誉教授に話を聞いた。

 絶滅したとみられていた日本固有の淡水魚、クニマスが山梨県の西湖で発見されてから、およそ5年が経った。研究は9匹の標本から始まったが、生存の確認を発表したころ「そんなに採集して大丈夫ですか」という質問をいただいたことがある。これは魚類の繁殖特性に対する知識のなさからきているのだが、生きていた絶滅魚に対して保全をどうするのか、周囲が神経過敏になっていたことをよく表している。

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 西湖ではヒメマスの遊漁、すなわちヒメマス釣りが行われているが、山梨県水産技術センターや京都大学の研究によって、ヒメマスに交じってクニマスが釣れていることがわかっている。クニマスはヒメマスに酷似しているので、釣られても、それとはわからない。絶滅から復活した魚だといって、西湖でクニマスを1匹も捕獲してはいけないとなれば、ヒメマス釣りをやめなければならない。

 しかし、ヒメマス釣りこそがクニマスを守っているのである。どうしてか。

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