産経WEST

【ファウルボール訴訟】安全優先か、野球の楽しみ優先か…女性ファン増える中、甲子園と大阪ドーム どう対応

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新

【ファウルボール訴訟】
安全優先か、野球の楽しみ優先か…女性ファン増える中、甲子園と大阪ドーム どう対応

 札幌ドーム(札幌市)でプロ野球観戦中にファウルボールが当たって右目を失明した女性に、計約4650万円の賠償を支払うよう北海道日本ハムファイターズなどに命じた26日の札幌地裁判決。「カープ女子」や「オリ姫」といった女性らをターゲットにファン層の拡大を目指す野球界にも波紋を広げそうだ。

 阪神タイガースの本拠地で、高校野球が開催中の阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)では、運営する阪神電鉄の担当者が「危険性は常にあるという認識で観戦してもらいたい。ボールから目を離さないようにお願いしたい」と率直に訴える。27日にセ・リーグ開幕戦の阪神-中日戦が行われる京セラドーム大阪(大阪市西区)でも、担当者は「できる限りの安全対策はしている」と困惑気味だ。

 観戦チケットの裏面には、ファウルボールなどによる事故に主催者側が責任を負わない旨が記載されているが、札幌地裁の裁判長は「初めて観戦に訪れる者や幼児、高齢者も安全に楽しむことができる安全設備が施されるべきだ」と指摘している。

 これに対し、スポーツ評論家の玉木正之氏は「ネットを目の前に見る野球なんて野球ではない。テレビ観戦と同じ感覚で球場に行くのは違うのでは」と、試合の迫力を楽しみたいファンの声を代弁する。

 平成20年には、クリネックススタジアム宮城(現楽天Koboスタジアム宮城、仙台市)で、目にファウルボールを受けた男性が視力が低下したとして楽天野球団などに損害賠償を求めた裁判で、1審仙台地裁は請求を棄却、2審仙台高裁もこれを支持している。

 日本大の福田充教授(危機管理論)は「安全安心を優先しすぎると野球自体を楽しめる環境が損なわれる。野球を楽しむことを優先すれば安全が損なわれる。観客側と球場側の責任の線引きは難しい。野球に詳しくない人に対する防護策を講じ、注意喚起を徹底すべきだ」と指摘する。

「産経WEST」のランキング