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【ニュースの断面】監督責任「1人だけ」に異論も 大阪府警巡査長の殺人

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【ニュースの断面】
監督責任「1人だけ」に異論も 大阪府警巡査長の殺人

大阪府警阿倍野署地域課の元巡査長、水内貴士被告

 大阪府警は2月13日、不適切な関係が発覚するのを恐れ、交際中の女性を殺害したとして逮捕、起訴された阿倍野署の巡査長を懲戒免職にした。上司の署長も重大事件の結果責任を問い、「部下が私生活で起こしたトラブルとしては異例の本部長注意」(府警)とした。しかし、治安を守るはずの警察官が若い女性の命を奪う事件の衝撃に比べ、監督責任が1人にとどまることには異論もある。

 事件は1月24日、大阪市東住吉区で発生。当時、阿倍野署地域課の巡査長だった水内貴士被告(26)が、社会福祉士の女性(23)の首をベルトで絞め窒息死させたとされる。

 結婚していることがばれ、別れ話を切り出されると「おまえは俺が好きやから、どうせ別れられへんやろ」と再三拒み、最後はマンション宅に押しかけ女性を殺害した。身勝手な態度と犯行の悪質性が際立つ。

 この事件で上司の監督責任を問えるか-は、府警監察室にとって焦点だった。府警の現職警察官による殺人は、記録が残る昭和30年以降、今回の事件を除いて3件。いずれも備品の拳銃が凶器で、上司は適正管理の責任に問われた。

 一方、水内被告の凶器のベルトは私物。犯行現場で使われた鑑識活動用の足カバーや手袋は消耗品で、監察室は「管理責任の対象にならない」とし、二股交際は妻も知らず、「上司が事件を予見するのは極めて困難」と判断した。

 とはいえ、国民を守る立場の警察官が人命を奪った重大さに鑑み、その結果責任から「あえて署長の監督責任を問うた」と府警は強調したが、インターネット上では処分を伝える本紙記事に、署長の本部長注意だけでは「軽い」といった投稿も見受けられた。

 警察官の職務は、警察官への人々の信頼によって成り立つ。府警は再発防止に取り組むというが、ネットの投稿は、府警のみならず警察全体の信頼を著しく損なう事件の割には、その重大さが処分から伝わってこないという違和感のようにも思える。(平田雄介)

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