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【都市を生きる建築(13)】高島屋東別館 大阪に残る歴史的百貨店

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【都市を生きる建築(13)】
高島屋東別館 大阪に残る歴史的百貨店

アーチ下のアーケードに残るアールデコ調のエントランスとショーウィンドウ(撮影・西岡潔)

 堺筋に面して日本橋に建つ高島屋の東別館は、1928(昭和3)年から37年にかけて建てられた百貨店建築だが、実は最初は松坂屋として建てられた。

 現在、大阪のメインストリートといえば御堂筋だが、37年に御堂筋が完成するまでは堺筋が大阪随一の大通りで、20(大正9)年に完成した北浜の三越百貨店を筆頭に、堺筋本町の白木屋大阪支店(1921年)、長堀橋の長堀高島屋(1922年)、そして松坂屋大阪店と、百貨店がこぞって出店したきらびやかなショッピングストリートだった。しかし、阪神淡路大震災で被害を受けた三越が撤退し、外装を改修して近年までオフィスビルとして活用されていた長堀高島屋も解体され、今は68年に高島屋が入居した後取得して現在に至る元の松坂屋、この東別館が残るのみとなった。

 設計をしたのは名古屋に事務所を構えて松坂屋の設計を数多くこなした鈴木禎(てい)次(じ)。外観はクラシックな3層構成で、何といっても堺筋に沿って続く67メートルものアーケード、11連のアーチが圧巻だ。装飾にはアカンサスの葉をモチーフにしたテラコッタが用いられ、アーケードに面してガラス張りのショーウィンドウが並ぶなど、百貨店らしい華やかさを今に伝えている。

 内部もエレベーターと階段廻りに濃密な装飾が施され、全体にアール・デコ調のデザインでまとめられている。かつて屋上には「松坂遊園」があり、夏はプール、冬はアイススケートで大変賑わったという。また当時は地下鉄堺筋線の新駅が建設される計画があり、百貨店はそれを見越して地下に出入口を設けていたが、残念ながら駅が実現することはなく、壁を隔てて地下鉄の通る音が響くのみとなってしまった。

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