関西の議論

ノーベル賞まであと一歩に迫る男、山中教授と同じラスカー賞獲得 ライバルとデッドヒート

【関西の議論】ノーベル賞まであと一歩に迫る男、山中教授と同じラスカー賞獲得 ライバルとデッドヒート
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 「派手さはなくとも後世に残る仕事がしたい」。9月、米国で最も権威ある医学賞でノーベル賞の登竜門ともいわれるラスカー賞を受賞した京都大大学院理学研究科教授の森和俊さん(56)は、日本の分子生物学を代表するエースの1人。今年はノーベル賞を手にすることはなかったものの、ラスカー賞といえば、京都大iPS細胞研究所の山中伸弥教授やマサチューセッツ工科大の利根川進教授ら歴代ノーベル賞受賞者らも受賞している。ノーベル賞まであと一歩に迫った森さんの研究人生は、漫画「鉄腕アトム」を読んで〝博士〟になる夢を思い描いた少年時代以来、「死闘を演じた」というライバル研究者との熾烈(しれつ)な競争をくぐり抜けてきた努力と情熱に支えられていた。(前田武)

「鉄腕アトム」で〝博士〟の夢

 今年のノーベル物理学賞は、青色発光ダイオード(LED)を開発した赤崎勇・名城大終身教授(85)、天野浩・名古屋大教授(54)、米カリフォルニア大サンタバーバラ校の中村修二教授(60)の日本人3氏に決まったが、ノーベル医学・生理学賞の有力な候補者として注目を集めていたのが森さんだった。

 研究対象は、生き物の細胞内で異常なタンパク質が増えるのを防ぐ仕組みで、「小胞体ストレス応答(UPR)」と呼ばれる。近年、さまざまな病気や生理現象に関係しているとして注目が集まっている。

 森さんは昭和33年、岡山県倉敷市の瀬戸内海に面した小さな町で生まれた。「鉄腕アトム」などの漫画を通じて科学に興味を持ち、子供のころから〝博士〟になるのが夢だった。

 小学校時代から算数や理科が得意で、新聞の科学記事を熱心に読むほど好奇心が旺盛だった。中学生になると、ノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士らの業績を知り、京都大理学部で物理学を学びたいと考えるように。当時は素粒子物理学が著しく発展しつつあった時期。「会社勤めではなく学問の世界に進み、大学で物理学の教授になりたいと思った」と振り返る。

 高校時代はあこがれの京都大理学部を目指して勉強に励んだが、成績は合格が微妙なボーダーライン。どうしても京都大に入りたくて、少し難易度が低い工学部を選び、合格した。しかし、中学校時代からの第一志望を断念したことは挫折でもあった。

 「高校までは生物の勉強が嫌いだった。物理や化学と違って明確な法則がなく、ただの暗記科目だとしか思えなかった」という森さんに転機が訪れたのは大学入学後。熱心に読んでいた新聞の科学記事で、後にノーベル医学・生理学賞を受賞する利根川進博士が取り組む分子生物学の研究に目を見張った。

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