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【関西の議論】所有者不在で荒れ果て放置される巨大“迷惑観音像”…複雑に絡む権利・法律、倒壊の危険も行政は手を出せず

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【関西の議論】
所有者不在で荒れ果て放置される巨大“迷惑観音像”…複雑に絡む権利・法律、倒壊の危険も行政は手を出せず

8月に襲来した台風11号の後、外壁の一部がはがれ落ちた「世界平和大観音像」=兵庫県淡路市釜口

 兵庫・淡路島から大阪湾を見下ろすように立つ巨大な「観音像」が、所有者不在のまま荒れ果てた状態で約8年半にわたって放置されている。8月の台風11号で外壁の一部が崩落し、倒壊の危険性も指摘されるが、地元の淡路市も債権者への配慮などから積極的に手が出せない状態。買い取りを申し出る人もいたが、荒廃した内部を見てあきらめたという。「迷惑観音」との声まで上がる巨大仏像を巡る問題は法的な権利も複雑に絡み、解決策が見えてこない。(藤崎真生)

元々は観光施設

 この仏像施設の正式名称は「世界平和大観音像」。コンクリート製で、高さは5階建ての台座部分(約20メートル)を含めると、大阪の通天閣に匹敵する約100メートル。国道28号沿いにそびえ立ち、周辺には関連施設として山門や高さ約40メートルの「十重の塔」などが建つ。

 淡路市などによると、淡路島出身で大阪市内で不動産会社を経営していた男性が昭和57年夏に観光施設として建設。内部は展望台を備え、絵画や車など自身のコレクションを展示していた。しかし男性は63年に亡くなり、施設は妻が相続。その妻も平成18年2月に死亡し、遺族が相続を放棄したため閉鎖となった。

 以後は相続者がなく、事実上持ち主不在となり、米証券会社リーマン・ブラザーズ系の金融機関が債権を一時保有。土地や観音像などが18、19年、神戸地裁で競売にかけられたが入札参加者はなかった。

 この金融機関は20年9月の世界金融危機で会社更生法を申請し、債権は別の会社に移ったが、その会社は維持管理者ではなく、修繕の法的義務がないという。23年9月以降は、大阪家裁から選任された相続財産管理人の女性弁護士(大阪市)が対応に当たっているが、この弁護士は取材に対し「その件については答えられない」としている。

 淡路市議会の議事録によると、観音像を建てた男性の遺族は「道義的な責任がある」として、同市に「相当な額」のふるさと納税をしており、その「浄財」が観音像関連の経費に活用されている。

手を出せない行政

 観音像については、閉鎖後に展望台付近のモルタルが剥離(はくり)していることが分かったこともあり、地元町内会が18年10月、淡路市に安全処置を要望。市は当初、修繕や撤去の法的義務はなく「所有者の管理が原則」としていたが、事態が改善しないため21年5月、「世界平和大観音像検討委員会」を設置。何者かが出入り口を壊して内部に侵入したこともあり、23年9月に安全対策として初めて内部調査を実施した。その結果、「倒壊の危険性はない」と判断し、観音像の入り口を封鎖した上で、傷みの激しい十重の塔にネットを張るなど応急処置をとった。

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