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【舞台の遺伝子】「隠し国」で生まれた忍術 通じ合う忍の心と和の心 梟の城

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【舞台の遺伝子】
「隠し国」で生まれた忍術 通じ合う忍の心と和の心 梟の城

朝霧の向こうに浮かび上がる伊賀の山々。四方を山に囲まれたこの地で、忍術が生まれた=三重県伊賀市

 重蔵は伏見城に侵入し、秀吉の寝所に忍び込む。だがその罪を負ったのは、重蔵を捕らえようと追ってきた五平だった。目的を果たした重蔵は、再び伊賀の峠の庵室に戻っていく。

 今や、忍術は廃れて久しい。川上さんは幼少期から、呼吸法や移動法、視覚や聴覚の鍛錬や1カ月間の断食など、過酷な訓練を続けたという。だが諜報の手段は近代化し、暗視装置や盗聴器もある。原始的な忍術を使う場面はもはやない。

 だが、すべてが消えたわけではない。そもそも不毛な戦いを避けて犠牲を減らす目的で、敵の情報を得て生還するために発達した忍術。何よりも重要だったのは人と交わるコミュニケーション能力だった。

 長年の鍛錬と研究を経て川上さんがたどり着いたのは、相手の様子をうかがいながら話し、争いを避けようとする日本人の民族性と忍術の精神との共通点だったという。「忍者の誇り高さは日本人そのもの。忍の心と和の心は、通じているのです」

文 加納裕子

写真 岡本義彦

梟の城戦国時代に暗躍する忍者の死闘を描いた長編小説。昭和33~34年、産経新聞記者だった司馬遼太郎が宗教紙に連載し、34年に単行本となった。司馬はこの作品で第42回直木賞を受賞。38年と平成11年の2度にわたり映画化された。

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