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【関西の議論】千年の視野で地震・津波の被害を予測する「災害の考古学」の可能性…平安時代の遺跡の痕跡などのデータベース化で未来の災害の被害軽減を

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【関西の議論】
千年の視野で地震・津波の被害を予測する「災害の考古学」の可能性…平安時代の遺跡の痕跡などのデータベース化で未来の災害の被害軽減を

真弓鑵子塚(まゆみかんすづか)古墳の石室。地震の痕跡が地面から石積みにかけて残る=平成20年、奈良県明日香村

 奈良文化財研究所(奈良市)が全国の遺跡に残る地震や津波、噴火など災害の痕跡をデータベース化するプロジェクトを始めた。数百年単位の長期的視野に立った被害予測の情報共有は全国で初めての試み。南海トラフ巨大地震など、将来予想される大災害の対策につなげるのがねらいだ。研究者は「考古学が現代社会に生きる人々に直接貢献できる希有(けう)なチャンス」と意気込んでおり、膨大な蓄積データを基にした“災害の考古学”の進捗に期待が高まっている。(植木芳和)

 東日本大震災、実は「想定内」?

 「想定外」とされた東日本大震災による大津波。だが、奈文研の難波洋三・埋蔵文化財センター長はじくじたる思いを抱えていた。

 「平安時代に三陸地方を襲った貞観津波の痕跡研究が有効活用されていれば、東日本大震災の津波被害をもっと減らせたのではないか」

 歴史をひもとけば、日本海溝周辺を震源にする大地震は弥生時代や平安時代前期の貞観11(869)年にも起きている。「地震考古学」の提唱者で、産業技術総合研究所の寒川旭客員研究員(地震考古学)らの研究チームは、東日本大震災が起こる7年前の平成16年から仙台平野の津波痕跡などを調査。その結果、海岸線から3~4キロの内陸部まで津波が押し寄せ、同じ地域の同じ範囲で約1000年間隔で大津波があったことを突き止めていた。

 だが、研究成果は防災に生かされることはなかった。災害と被害規模が「想定外」と表現されるたび、難波センター長はもどかしい思いにかられ、遺跡に残る災害痕跡の重要性を発信し、防災に生かしたいと、データベース化を思い立った。

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