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【芸能プレミアム】映画は“風化しないジャーナリズム” 旧ソ連の樺太侵攻描く 大林宣彦監督「野のなななのか」

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【芸能プレミアム】
映画は“風化しないジャーナリズム” 旧ソ連の樺太侵攻描く 大林宣彦監督「野のなななのか」

「謎の女性」を通し過去をあらわに

 映画とは、観客それぞれの哲学を生み出すものであり、“風化しないジャーナリズム”とも考えているという。「戦争や震災という辛い事柄を、恋愛映画からも考えられる良さがある」。独特の穏やかな語り口調、優しい笑顔に引き込まれる。

 「今生きているあなたが、この映画で過去から未来まで全ての情報をたぐり寄せて考えて欲しい。。これはあなたが、あなたを見つける映画です」

 新作「野のなななのか」が17日に封切られる。北海道芦別市を舞台に、昭和20年8月15日以降も戦争が続いていた樺太で、旧ソ連軍の侵攻を体験し、東日本大震災時に92歳で他界した家長の、知られざる過去を時空を超えて描き、北海道の敗戦史も綴っていく。長岡空襲を題材にした前作「この空の花 -長岡花火物語」の姉妹編だ。

 《北海道芦別市で、昭和20年の旧ソ連の樺太侵攻を体験した光男(品川徹)が他界。謎の女性、清水信子(常盤貴子)を通し、生と死の境界線が曖昧な“なななのか”(四十九日)に、光男と少女・綾野(安達祐実)の過去があらわに…》

 映画作りの当初から、今作で描かれる「人や命のつながり」を感じていた。監督を芦別に導いたのは、監督作のファンである芦別市役所職員の鈴木評詞さん。鈴木さんの招きで、監督は平成5年に芦別で映画祭を立ち上げ、毎年開催している。「いつか芦別で映画を撮ることが、鈴木君との約束だった」。9年に36歳の若さで他界した彼との約束を20年越しで果たした。

一度は死んだ身

 その間に、自身に大きな出来事が…。平成21年秋頃からたびたび体調を崩し、心臓疾患が見つかり、22年5月にペースメーカーを入れる手術を受けた。「一度死んで、生きながらえた。少年期に戦争を体験した“敗戦少年”として戦争を伝えねば、と思った」。翌年、東日本大震災が発生。今作では震災で時を止めた男性を通した“北の敗戦”を描くと決めた。

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