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【関西新刊案内】『特攻 最後のインタビュー』編集・構成 神崎夢現さん 証言者 粕井貫次さん 精いっぱい生きたあの時を知って

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【関西新刊案内】
『特攻 最後のインタビュー』編集・構成 神崎夢現さん 証言者 粕井貫次さん 精いっぱい生きたあの時を知って

 元特攻隊員11人の証言を集めた『特攻 最後のインタビュー』が刊行された。死の間際から生還した元特攻隊員たちの証言内容はいずれも壮絶。だが、淡々と語られる特攻の真実に、青春時代を精いっぱい生きようとした若者たちの日常が浮かび上がる。

 「インタビュー内容は、できるだけ手を加えぬようにしました。元特攻隊員の真実を直球で伝えるには、取材する側の結論ありきの思い入れや過剰な表現を避けた、この方法しかないと確信しています」と、編集者の神崎夢現さんは言う。

 証言者の一人、粕井貫次さんは大正12年、大阪生まれで現在90歳。赤トンボと呼ばれた海軍の九三式中間練習機の元特攻隊員だ。

 「機体も燃料も不足し、練習機で特攻するところまで当時の日本の戦況は追い込まれていたのです」。布張りの翼の練習機にゼロ戦と同じ250キロの爆弾を積んでの訓練は過酷を極めた。「体重が軽い私が最初に乗ってテストしました」

 20歳で練習機の教官となった粕井さんは昭和20年7月、九州の国分基地へ特攻隊員として赴任。8月10日、日向灘に接近していた米艦隊に向けての出撃命令が出る。「3時間待機」の命令から、30分以内に離陸する「30分待機」となり、「いよいよ私は死ぬのか」と覚悟を固めたとき、突然の豪雨で攻撃は中止に。そのまま終戦を迎えた。

 大阪の実家に帰ると祖母は驚き、粕井さんの両足にしがみついて、泣きながらこう叫んだという。「幽霊と違う。足がある。よう帰ってきてくれたなあ」

 70年前の歴史から学ぶべきことは多い。(ハート出版 2205円)

 戸津井康之

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