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【河内幻視行】楠木正成の菩提寺「観心寺」にある“夢の途中”

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【河内幻視行】
楠木正成の菩提寺「観心寺」にある“夢の途中”

 靴を脱いで金堂に入り、内陣の手前の欄間に、金色っぽく輝いた額があるのに気がついた。

 首をやや斜めにかしげ、片足を立てひざにした姿を仰ぎ見て、すぐに秘仏の如意輪観音の写真だとわかった。そのなまめかしい姿態は、写真集などで、なんども見入ったことがある。

 仏像にかんしては、まったくのシロウトである。だが奈良や京都などの古刹(こさつ)で、たびたび拝観する機会にはめぐまれた。仏像の多くは男性でも女性でもなく、しいていえば「中性」である。

 腹部から腰のあたりが、みょうに女性っぽい曲線を描いている像にもたびたび遭遇した。だが「なまめかしい」という形容がぴったりなのは、いま仰ぎ見ている観心寺の如意輪観音坐像の右に出るものはないだろう。もちろん国宝である。

 『私の古寺巡礼』を書いたエッセイスト、白洲正子も、写真で眺めたかぎりでの印象をつぎのように紹介している。

 「豊満な六臂(ろっぴ)には、不思議な力がこもり、吸いこまれそうな気分になる。女の私でもほれぼれするのだから、男が見たらどんな気を起すか」

 男である筆者も、いつかは拝観してみたいと思っていた。だが額の下には「御開帳 4月17、18日」と書かれている。1年間で、わずか2日間しか拝観できないのだ。

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