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【オリンピズム】冷たい戦いを超えて(17)冷戦崩壊の足音が聞こえ始めた

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【オリンピズム】
冷たい戦いを超えて(17)冷戦崩壊の足音が聞こえ始めた

ロス五輪体操女子で活躍したルーマニアのエカテリーナ・サボーの床運動=1984年8月(UPI=共同) ロス五輪体操女子で活躍したルーマニアのエカテリーナ・サボーの床運動=1984年8月(UPI=共同)

 ソ連軍のアフガニスタン侵攻から80年代に入り冷戦は新たな展開を迎えた。米ソ関係はどん底に陥る一方、ソ連の指導体制はレオニード・ブレジネフ以降、不安定となり、東欧はソ連の体制を揺るがし始める。当時の産経新聞はこう見通していた。

 《ソ連・東欧関係は、東西接触に最も消極的なソ連とチェコを一つの軸に、その反対側に積極的な東西交流を唱えるハンガリーをおく形ができあがっている。この両国の間に、ハンガリーに近い方からルーマニア、東ドイツ、ブルガリア、ポーランドと並び、両グループの間に、しばしば非難と反論の応酬が繰り返されている。いわばソ連と東欧の間に微妙な「異議申し立て」と亀裂が生まれはじめており、その「一枚岩」的な団結の回復が、ソ連の対東欧政策の要ともなっている》

 ソ連はロス五輪ボイコットを通じて“団結の回復”を期待したことだろう。しかし、それはルーマニアからほころびた。その次に西側に近いとみられた東ドイツにもその可能性はあったのではないか。

 当時、分断された欧州では、東欧から国境を越えて西ドイツ南東部のバイエルン州へ脱出し、西側に亡命する事件が相次いだ。地雷を敷きつめた国境地帯を通過して脱出した東ドイツ人もいた。そうしたスパイ小説さながらの出来事がロス五輪報道の脇で伝えられている。

 ベルリンの壁が崩壊するまであと5年。冷戦崩壊の足音は、ロス五輪で見せたソ連の“誤算”からすでに聞こえ始めていた。 =敬称略 (蔭山実)

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