産経ニュース

【開いた扉 桐生9秒98の軌跡】(下)次は「東京ファイナリスト」 ライバル山県と切磋琢磨

東京五輪 東京五輪

記事詳細

更新

【開いた扉 桐生9秒98の軌跡】
(下)次は「東京ファイナリスト」 ライバル山県と切磋琢磨

男子100メートル決勝で2位に敗れた山県(右)と3位の桐生。昨年6月の日本選手権はケンブリッジ飛鳥(中央)が制した =名古屋市(森田達也撮影) 男子100メートル決勝で2位に敗れた山県(右)と3位の桐生。昨年6月の日本選手権はケンブリッジ飛鳥(中央)が制した =名古屋市(森田達也撮影)

 足踏みが続く間にケンブリッジ飛鳥、多田修平、サニブラウン・ハキームが力を伸ばし、6月の日本選手権では桐生が4位、山県は6位に沈んだ。桐生が自負をのぞかせたのは、その直後だった。「山県さんと話したけど、僕ら2人で陸上界を盛り上げてきたと思う。今はいろんな選手がいるけど、戻って来るって2人で約束した」。後日、山県に確認すると、交わしたのは「また頑張ろう」という短い言葉だけで「僕ら2人で-」の部分は桐生の思いだという。

 あの織田記念から4年4カ月。「日本初」という夢を争った宿敵は、同時に、同じ境遇に身を置く同志でもあった。一つの決着を見た今、山県は「残された偉業はまだある。今度は譲れない」と語り、桐生も「ライバルが山県さんであることは変わらない」とさらなる切磋琢磨(せっさたくま)を誓う。

 桐生のコーチである土江寛裕は「今回は記録が出る準備をしていなかった。きちんと準備をすれば9秒9の前半、9秒8台も難しくないという感覚を持った」という。五輪の準決勝を9秒台で走れれば、1932年ロサンゼルス五輪の吉岡隆徳以来となる「日本人ファイナリスト」という夢が見えてくる。

 「やっと世界のスタート地点。これで終わりじゃない」。桐生が言う通り、9秒98は新たな号砲だ。2020年東京五輪の決勝を目指す戦いは、本格的に幕を開ける。=敬称略(連載は宝田将志が担当しました)

関連ニュース

東京五輪2020まであと

「東京五輪」のランキング