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【開いた扉 桐生9秒98の軌跡】(下)次は「東京ファイナリスト」 ライバル山県と切磋琢磨

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【開いた扉 桐生9秒98の軌跡】
(下)次は「東京ファイナリスト」 ライバル山県と切磋琢磨

男子100メートル決勝で2位に敗れた山県(右)と3位の桐生。昨年6月の日本選手権はケンブリッジ飛鳥(中央)が制した =名古屋市(森田達也撮影) 男子100メートル決勝で2位に敗れた山県(右)と3位の桐生。昨年6月の日本選手権はケンブリッジ飛鳥(中央)が制した =名古屋市(森田達也撮影)

 9秒98の日本記録を達成し、桐生祥秀は興奮そのままにサブトラックに戻ってきた。スマートフォンに次々と届く祝福のメッセージ。その一つに目が吸い寄せられた。

 「おめでとう。先越されたわ」

 「日本人初の9秒台」という栄誉を争ってきた山県亮太からだった。「感動しすぎて泣きそうになった。もし山県さんが先に9秒台を出したとして、自分が『おめでとうございます』と送れたか分からない」。2人が過ごしてきた時間の苛烈さが言葉の端ににじんだ。

 2013年織田記念、予選で桐生が10秒01を出すと、決勝は追い風参考ながら桐生10秒03、山県10秒04の大接戦。この日を境に、17歳と20歳だった若者はライバルとなった。9秒台は「いつ出るか」だけでなく「誰が出すか」に注目が集まり、2人は幾度となく並んで記録への意気込みを聞かれた。追いつ追われつしながら、昨年には桐生が2度目の10秒01をマーク、山県も10秒03まで自己記録を伸ばして「10秒の壁」に迫っていた。

 周囲から激励され、10秒を切れずにレースを終えるたびにスタンドのため息を聞いた。車好きの桐生は一時期、よく埼玉県川越市の寮から東京都心に出かけ、高級外車のショールームを回った。「絶対買わないだろうと思われて、声を掛けられない」。そうやって自分の世界を取り戻さなければバランスを保てなかった。

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