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パラ卓球のレジェンド・別所キミヱ選手とPARA☆DO!公式アーティスト・HANDSIGNが初共演 マラソン祭り2018

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パラ卓球のレジェンド・別所キミヱ選手とPARA☆DO!公式アーティスト・HANDSIGNが初共演 マラソン祭り2018

 東京マラソンが行われた2月25日、ランナーを応援するイベント「マラソン祭り2018」が港区の都立芝公園で行われ、パラ卓球の別所キミヱ選手らを招き、フジテレビのパラスポーツ応援プロジェクト「PARA☆DO! TALK ×LIVE」が開かれた。別所選手は、マラソン祭りナビゲーターのアップアップガールズ(仮)のメンバーらとパラ卓球で対決。ときおり目の覚めるようなスマッシュを放ってレジェンドぶりを発揮し、会場を大いに沸かせた。

 パラ卓球をプレーする別所選手。右はMCの田中ウルヴェ京さん  パラ卓球をプレーする別所選手。右はMCの田中ウルヴェ京さん

 オープニングでPARA☆DO!公式アーティストに加わったHANDSIGN(ハンドサイン)が、MCの田中ウルヴェ京さん(メンタルトレーニング上級指導士/ソウル五輪シンクロナイズドスイミング銅メダリスト)から紹介された。HANDSIGNはダンスと手話と音楽を交えたパフォーマンスで知られるボーカル&パフォーマンスグループ。リーダーのTATSUさん (ボーカル、ダンス)、SHINGOさん(ボーカル、ダンス)、JiNさん(ダンス、コレオグラフ)、OzAさん(ダンス)、西田隆人さん(ダンス)の5人のメンバーで構成する。この日はまず、昨年リリースされて大反響を呼んだ代表曲のひとつ『僕が君の耳になる』を披露。耳の聞こえない女性と、聞こえる男性が結婚した実話をもとにしたラブソングを、ボーカル、ダンス、手話が一体となったパフォーマンスで表現し、会場を魅了した。

 振り付けを担当するJiNさんは「手話は言葉なので、言語をパフォーマンスを通して、ちょっとカッコよく伝えたいと思っています。動きがよくても手話が通じないダンスではだめですし、その逆でもだめです。パフォーマンスを見て、手話っていいな、カッコいいなと思ってもらえればいいですね。耳が聞こえないから何々というような、スティグマが無くなるようなパフォーマンスをつくっていきたいですね」とHANDSIGN流のパフォーマンスを解説する。

 深刻な喉の病気のため福井放送アナウンサーを辞め、その後にHANDSIGNに加わった西田隆人さんは「ライブには耳が聞こえない方が半分くらいきてくださる。そういったところでコミュニケーションを取り、手話を始める方がいます。ぼくたちのライブを通じて手話に興味を持ってもらえればうれしいですね。メディアにいたとき以上にやりがいを感じています」と新たな日々を充実の顔で語る。

 リーダーのTATSUさんは「東京パラリンピックがある2020年には、耳が聞こえない海外の人が日本を訪れる機会が増えると思います。パラリンピックを盛り上げたいですね。手話は世界共通ではなく、ぼくらはいま、日本語の歌を日本語で歌って、日本の手話で表現していますけど、これからは英語や韓国語で歌い、英語や韓国語の手話を使って世界の人たちに音楽を届けられるような活動をしたい」と話す。

 HANDSIGNは、4月からPARA☆DO! の公式テーマソングとなる『この手で奏でるありがとう』も披露。心温まる歌詞とパフォーマンスに、会場からは大きな拍手が沸き起こった。

 『この手で奏でるありがとう』を披露するHANDSIGN。左から、OzAさん、SHINGOさん、JiNさん、TATSUさん、西田さん  『この手で奏でるありがとう』を披露するHANDSIGN。左から、OzAさん、SHINGOさん、JiNさん、TATSUさん、西田さん

 「ジーンときました」とHANDSIGNの曲に聞き入っていた別所選手は、手話に興味津々。自身の勝負カラーである「紫」や、代名詞の「蝶」の手話表現を、リーダーのTATSUさんらにたずねては、熱心に手を動かした。

 身上とするプレースタイルの「いやらしい卓球」の表現方法も質問。①コースを狙う卓球②キツネのように相手をだます卓球③エロティックな卓球──の3パターンを教えてもらったが、②のキツネ案が大のお気に入りに。別所選手は笑顔で“キツネ卓球”の手話動作を繰り返した。

 「キツネのように相手をだます卓球」の手話動作を確認する別所選手(中央)  「キツネのように相手をだます卓球」の手話動作を確認する別所選手(中央)

 乗ってきた別所選手はこの後、アップアップガールズ(仮)や、来場した一般の観覧者とパラ卓球で対戦した。ラリーを続けるために、相手のオーバーミスもやさしく打ち返したが、コーナーに厳しいボールを決められると、すぐさま強烈なスマッシュで反撃するシーンも。70歳の別所選手は「わたし、球を見ると年甲斐もなくムキになっちゃうんです」と笑って反省の弁を述べたが、アテネ・パラリンピックから北京、ロンドン、リオデジャネイロと4大会連続で出場している実力の一端を見せた。

 一般の観覧者とラリーする別所選手(左)  一般の観覧者とラリーする別所選手(左)  ステージで『Beautiful Dreamer』を歌うアップアップガールズ(仮)  ステージで『Beautiful Dreamer』を歌うアップアップガールズ(仮)

 2020年東京パラリンピックにちなみ、この日のイベントには「20」足す「20」という意味で、トレードマークの蝶の髪飾りを合計40個つけて参加した。リオ大会には日本選手団最年長の68歳で出場し、3大会連続5位の成績を残した。東京パラリンピック出場に向け、別所選手らしい歯切れ良い決意表明が飛び出すかと思いきや、イベント後のコメントは慎重だった。

 「東京パラリンピックのことを聞かれますけど、それはまだまだ先の話ですね。物事には段階、順番がありますから。まず、この1年、何をするかですね」

 最新の世界ランキングは4位。実力は十分にあるが、楽々とパラリンピックに出場できるわけではない。現在は、プレーの幅を広げるため、トレーニングとスポーツ整体で肩甲骨の可動域を広げる努力を続けている。その効果を語る表情は明るい。

 「わたしは肩甲骨の動きが悪く、バックハンドが弱かったのですが、可動域が広がったおかげで、ただ返すだけでなく、より強い球を打ち返せるようになりました。以前は体のバランスが悪くてラケットが届かなかったところにも、届くようになりましたね。そこはよくなっています」

 別所選手は、相手のラケットが届きにくいネット際にポトリとボールを落とす「いやらしい卓球」が持ち味だが、強打やサーブレシーブにも手ごたえをつかんでいる。

 今年の目標は10月の世界選手権(スロベニア)でメダルを獲得することだ。「メダルを獲ると考えたとき、いままでのわたしのプレースタイルは知られていますから、プラスアルファが必要です」と言い切るあたり、その延長線上に2020年があると見ていいだろう。

 2020年に向けて別所選手が気にかけているのは、パラスポーツに対する関心の高まりだ。「選手だけが頑張っても始まらないと思います。国民の方々の理解があってこそのパラスポーツだと思います。わたしの場合、そんな難しいことではなく、スポーツの楽しさをわかってもらえればと、極力、イベンドなどには協力させていただいています」

 41歳で「仙骨巨細胞腫」を発症し、2度の手術の影響で車いすを使うようになった。45歳でパラ卓球に出会い、56歳のときに初めてパラリンピックに出場した。そのアテネ大会への道のりは、奇跡的だったと振り返る。出場資格を得るために海外の大会を転戦して世界ランキングを上げ、ネックとなっていた資金面も、自身の奮闘や周囲の協力を得てバザーを開いたり、カンパを募るなどしてクリアした。

 「あのときに1%の可能性でもあれば、挑戦せなアカンなと思いました。そのころの苦労がいまにつながっていますから。ホンマ、あきらめなくてよかった」

 別所選手(中央右)を中心に参加者が記念撮影。左はアップアップガールズ(仮)のメンバー、中央左は田中ウルヴェ京さん、右はHANDSIGNのメンバー  別所選手(中央右)を中心に参加者が記念撮影。左はアップアップガールズ(仮)のメンバー、中央左は田中ウルヴェ京さん、右はHANDSIGNのメンバー

 だからこそ、より多くのパラアスリートの活躍や、活躍しやすい環境が整うことを願う。TALK ×LIVEの当日は肌寒い天候だったが、別所選手は「TEAM BEYOND」(チーム ビヨンド)のTシャツ姿で元気なプレーを見せ、パラスポーツを通じてよりよい社会を目指す取り組みやチームの存在を発信し、観覧者にはメンバー登録を呼びかけた。この1年、イベントなどへの出席のため何十回と東京に来た。周囲からは冗談交じりに「東京に別荘を持ったら?」と言われている。(フジテレビ)

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