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【鈴木桂治 柔のすゝめ】ロシアの強化策 発見の連続

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【鈴木桂治 柔のすゝめ】
ロシアの強化策 発見の連続

 昨春から早大大学院に通い、「世界の柔道強豪国における国家的強化方針」を研究してきた。20カ国以上の柔道連盟にアンケートを送り、回答のあった中でも強化策の独自性が際立つロシアを修士論文のテーマにした。1月に書き終え、ひと息ついたところだ。

 プーチン大統領は紅白帯(講道館六段)の保持者で、柔道は国の威信を懸けた競技でもある。私の研究に応じてくれたのが、代表監督のエツィオ・ガンバ氏(59)だった。イタリア出身で、1980年モスクワ五輪の男子71キロ級王者である。

 2008年北京五輪でメダルなしに終わったロシア男子を、監督就任後の12年ロンドン大会で金3個、16年リオデジャネイロ大会で金2個に導いた。V字回復の立役者といえる。昨年12月のグランドスラム東京大会で氏が来日した際、インタビューに答えてもらった。

 驚いたのが強化選手の数だ。五輪や世界選手権の代表クラスに当たるシニア強化選手は、全7階級で約70人という。日本で最上位のA指定は11人。ロシアの選択肢がいかに多いか分かる。

 国内の代表選考会がないのも意外だった。ライバル同士がつぶし合う方式ではなく、各選手の国際大会での実績、つまり対外国人の優劣だけで比較する。査定は「五輪で勝てるかどうか」の一点で分かりやすい。

 各地の国際大会に多くの選手を派遣しており、自由度の高い強化資金がそれを支える。ロシア柔連の予算は7割がスポンサーの協賛金で、国の支援は3割。総額は「シークレット」だったが、石油や天然ガスで潤う大企業を後ろ盾として、国にさほど気を使わず強化に打ち込めるのだろう。

 現にガンバ氏は、全強化選手を集めて年200日の国内合宿と100日の国外合宿を行っている。行動を共にする選手の間には「ライバルは外国選手」の意識が浸透しているという。

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