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かわさきPARAフェス2017夏 Powered by PARA☆DO! 市原隼人さんが車いすバスケの魅力を語る

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かわさきPARAフェス2017夏 Powered by PARA☆DO! 市原隼人さんが車いすバスケの魅力を語る

 川崎市が推進する「かわさきパラムーブメント」への理解を深めてもらおうと、JR川崎駅前のラゾーナ川崎ルーファ広場で20日、市民参加型のイベント「かわさきPARAフェス夏2017Powered by PARA☆DO!」が開かれた。会場には車いすバスケットボール、ブラインドサッカー、ボッチャのコートが設けられたほか、パラ陸上の義足を着用して走ることができるレーンや、ビームライフルのブースが展開され、訪れた多くの人が実際にパラスポーツを体験した。

 多くの子供達がボッチャを楽しんだ

多くの子どもたちがボッチャをはじめパラスポーツを実際に体験した

 車いすバスケのエキシビションでは、地元の車いすバスケチーム・川崎WSCの選手、Bリーグ・川崎ブレイブサンダースの選手に加え、フジテレビの新春ドラマスペシャル『君に捧げるエンブレム』で車いすバスケの選手役を熱演した、川崎市出身の俳優、市原隼人さんが参加した。市原さんはドラマのために車いすさばきを身につけており、ユニホーム姿で素早い直進や軽快なターン、リズミカルなドリブルを披露。走り込んでのシュートも決め、コートサイドを埋めた市民から大きな拍手を浴びた。

 多くの子供達がボッチャを楽しんだ

車いすを走らせながらシュートを成功させた市原隼人さん

車いすバスケが迫力満点で魅力的な理由

 その後に行われたトークショーでは、司会の田中ウルヴェ京さん(ソウル五輪シンクロナイズドスイミング銅メダリスト)、車いすバスケ日本代表の京谷和幸アシスタントコーチ、同日本代表の香西宏昭選手と車いすバスケの魅力について熱く語った。

 市原さんは『君に捧げる─』の撮影に当たり、車いすバスケをプレーするようになった経緯を選手たちに聞いた。先天的に足が不自由な選手もいれば、不慮の事故が理由の選手もいた。桜井翔さんが演じた『君に捧げる─』の主人公のモデルとなった京谷コーチは、Jリーグ・ジェフ市原の選手時代、これから羽ばたこうという22歳のときの交通事故で車いす生活になった。

 「選手一人一人に車いすバスケにかかわるきっかけがあって、それぞれ背負っているものが違っていて、車いすバスケに救われている方がたくさんいます。助けられたり、支えられたりしています。だから、車いすバスケをしているときは『ここは俺の居場所だから誰にも渡したくない』という目をしているんですよ。実際にお話しさせていただいて、不安もあって、孤独なこともたくさんあって、でも、車いすバスケに出会って変わったんだという方をたくさん見て、本当に素晴らしいスポーツだと思いました。『このワンプッシュ、このワンシュートはだれにも譲らねえぞ』という方々が集まっています。試合を見ていただければわかると思いますので、ぜひ、みなさんに見ていただきたいですね」

 多くの子供達がボッチャを楽しんだ

トークショーに出演した(左から)田中ウルヴェ京さん、市原隼人さん、京谷和幸さん、香西宏昭さん

 2000年シドニー、04年アテネ、08年北京とパラリンピックに3大会連続で出場し、北京大会では日本選手団の主将を務めた京谷コーチは、市原さんの言葉に何度も大きくうなずいた。

 「市原さんがおっしゃったように『だれにもこの場所を渡したくない』と思って日本代表で13年間、プレーしました。まさに、そういう選手の集まりでしたし、その思いを汲み取っていただけたのはすばらしいことですし、ありがたいことでした」

 司会を務めた田中さんは、専門領域のメンタルトレーニングを通じて車いすバスケ日本代表のメンタルコーチとしてチームの強化に携わっている。その過程で「死ぬ気で頑張る」との言葉は使わなくなったという。

 「わたしは現役時代、軽々しい気持ちではなかったのですが、『死ぬ気で頑張る』という言葉を使っていました。本当に死ぬ気でメダルを獲りたい、死ぬ気で頑張りたいと思っていたからです」

 コーチは厳しい指導で知られるあの井村雅代氏。「死ぬ気」の表現に嘘偽りがなかったと容易に想像がつくが、車いすバスケにかかわる中で「死ぬ気なんて言葉を使ってはいけないよ」と教えられたという。代わって使うのが「生きる気」だ。

 「京谷さんや香西さん、日本代表のみなさんから、言葉の重みや見えない努力を教えてもらいました。『生きる気』って言葉は(会場の)みなさんはあまり使ったことがないのではないでしょうか。でも、『生きる気』の方が、本当に責任があって、本当の覚悟があると感じます」

 それぞれの選手の車いすバスケに傾ける思いが、プレーのスピードや激しさとなり、競技の魅力や迫力にもつながっているのだろう。

 多くの子供達がボッチャを楽しんだ

車いすバスケでシュートを放つBリーグ川崎ブレイブサンダースの藤井祐眞選手(中央)

重要な試合を控える車いすバスケ日本代表チーム

 2020年東京パラリンピックでのメダル獲得を目指す車いすバスケ日本代表は、8月31日から9月2日まで英国(リオデジャネイロ大会銅メダル)、トルコ(同4位)、オーストラリア(同6位)の3チームを招いて国際親善大会「三菱電機WORLD CHALLENGE CUP 2017」(東京体育館)を戦う。ロンドン、リオ大会はともに9位だった日本にとって絶好の腕試しの機会だ。その先の10月には、18年世界選手権のアジア・オセアニア予選を控える。

 チームの大黒柱、香西選手は日本代表の現在位置をこう語る。

 「リオ・パラリンピックでの9位は、ロンドンと同じ9位でしたが、北京以降ぼくが出た3大会の中では、欧米のチームと一番、差が縮まったと手ごたえを得ました。でも、いまのままではメダルには及ばない。それがリオで感じたことでもあります。自分の個人能力、スキルをメダルに手が届くところまで引き上げる必要があります」

 香西選手は米イリノイ大学時代に車いすバスケの全米大学リーグのMVPを2年連続で獲得しており、世界でもトップレベルの実力を持つ。2013-14年シーズンから、各国のトップ選手が集う独ブンデスリーガで活躍しており、今季からは人気、実力ともナンバーワンのランディールでプレーする。香西選手個人にとっても、日本代表にとっても新たな刺激を期待できそうだ。

車いすをめぐる日本と欧米との違い

 今回のイベントを主催した川崎市は、2020年東京五輪・パラリンピックと、24年の川崎市の市制100周年を見据え、「かわさきパラムーブメント」を推進している。高齢化社会の進行に伴い、心身に障害を持つ人や介護が必要な人が増えると予想され、障害のある人などが生き生きと暮らすうえでの障壁を意識、施設の両面でなくすためだ。

 多くの子供達がボッチャを楽しんだ

あいさつをする川崎市の福田紀彦市長

 福田紀彦市長は「2020年に隣町の東京にオリンピック、パラリンピックがやってきます。隣町の川崎市も大きく社会的な変革をしていこうと思っています。2012年にロンドンがパラリンピックを一生懸命やることによって、ロンドンの街や英国が大きく変わりました。ぼくたちの川崎もこのチャンスに大きく変えたいと思います」とイベントの中で市民に呼び掛けた。

 川崎市が掲げる理想にはまだまだ距離がある。この日のイベントに参加したパラ射撃の元日本代表で東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会アスリート委員の田口亜希さんが言う。

 「障害のある人、車いすの人で出掛けにくいと考えている人がいっぱいいるのではないかと思いますね。アメリカでは電動車いすの人が普通に出掛けています。パラリンピックに行って選手村にいると、だれもジロジロ見ないのですが、成田空港に帰ってくると、あれ、なんか違うなと。そういう差がなくなるといいなと思います」

 多くの子供達がボッチャを楽しんだ

川崎市出身の坂本九さんの代表曲「上を向いて歩こう」を披露したPARA☆DO!公式アーティストの清貴さん(右)。中央は田口亜希さん

 米、独での生活が長い香西選手の語る実体験は、ひとつの手本になるだろう。

 「アメリカではトイレの心配をする必要がありませんでした。障害者用のトイレはもちろんあるのですが、ただの広いトイレって感じのものもあり、大きなことをいうと、社会的に認められているような気がしました。ドイツではバスに乗るときに運転手さんが車いすを載せるスロープを出してくれるのですが、居合わせた若いお兄さんがさりげなく出してくれたりします。日本でも、もちろん親切にしていただけるのですが、ああかわいそうだね、というようなニュアンスを感じることもあります」

 出場したパラリンピックの中では、ロンドン大会が印象深かったという。

 「プロモーションの段階から(アスリート性を前面に押し出した)インパクトの強いCMを流したり、現地に行っても会場が観客でいっぱいでした。大会が終わってからもパラスポーツを広めることを継続的に行っています。日本はいま、東京大会に向けて盛り上がっていますが、それをきっかけにさらに発展できれば、成功したと言えるのではないでしょうか」

 多くの子供達がボッチャを楽しんだ

多くの子どもたちが、車いすバスケットボールを体験した

 多くの子供達がボッチャを楽しんだ

パラ陸上の競技用義足を着用するチビッコ

 川崎市は東京2020大会で英国オリンピック代表チームの事前キャンプ地に決まっている。英国が持つ多くのノウハウを吸収する絶好のチャンスが待っている。「かわさきパラムーブメント」がしっかりと根を張り、他都市にモデルを示すことができれば、日本全体にとってのプラスも計り知れない。だれもが気軽にパラスポーツを体験できた今回の市民参加型のイベントは、大きなビジョンの実現に向けた、小さいが確かな一歩といえるだろう。

 市原さんは「地元であり、故郷の川崎がいろいろな垣根を越え、人それぞれの違いを認め、そんな、人を支え合う川崎であってほしいですね」と「かわさきパラムーブメント」に期待を寄せた。(協力 フジテレビ)

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