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【谷真海のパラリンピアン・ライフ】労働環境改善はレガシー

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【谷真海のパラリンピアン・ライフ】
労働環境改善はレガシー

 私が勤務するサントリーのCSR推進部は、企業が果たす社会貢献を担う部署です。パラリンピアンとして、スポーツの力を子供たちと共有するワークショップや、会社が被災地支援の一環で行うスポーツ体験会に参加することが業務の一つとなっています。

 被災地や子供たちに元気を届けながら、自分自身も力をもらって競技に打ち込む-。アスリートとしての価値を最大化できる素晴らしい環境です。

 入社当時は、有給休暇を消化して合宿や遠征などをこなしていました。仕事での責任感を果たせない中途半端な気持ちから、競技にも集中することが困難でした。しかし、会社や上司の理解により、アスリートの活動そのものを業務に転換できる環境に恵まれるようになりました。相乗効果で競技成績も伸びました。

 現在、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」などで、パラリンピック選手の採用が増えています。競技チームなどを丸ごと抱えるのではなく、志の高いアスリートを個々にサポートする制度です。五輪同様に世界のレベルアップは著しく、フルタイムで働いて世界に挑むことが難しくなっています。企業のサポートは不可欠で、この制度は選手にとっても、とても心強いです。

 企業にとってはどうでしょうか。例えば、職場に車いすの人がいることで、理解が深まります。夢に向かって頑張る選手の存在は、職場へも好影響を与えるはずです。英国では、パラリンピック開催が障害者全体の雇用にプラスに働いたというデータもあります。選手が引退後も企業で働き、障害者全体の労働環境が改善していくことは何よりのレガシー(遺産)です。

 アスリートがやりがいを感じ、自発的に仕事にも向き合えてこそ、競技にも社会にもプラスに働く好循環が生まれると考えています。

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