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【走り出す日本力】貴重品は「隠し蔵」に 犯罪に強い住宅

走り出す日本力

防犯・防災技術

貴重品は「隠し蔵」に 犯罪に強い住宅

貴重品は「隠し蔵」に
犯罪に強い住宅

「隠し蔵」(奥の収納庫)。手前の間仕切り家具が矢印方向へスライド、保管場所は分からない(ミサワホーム提供)

「隠し蔵」(奥の収納庫)。手前の間仕切り家具が矢印方向へスライド、保管場所は分からない(ミサワホーム提供)

 玄関も窓も鍵を二重に掛けるダブルロックが当たり前。割れにくい複層ガラスに堅固なシャッター。家に設置したセンサーやカメラで離れた場所からでもスマートフォンで安全を確認…。だが、防犯のポイントはハードウエアばかりではない。

 「何よりも強い防犯システムは“周囲の視線”です」

 ミサワホーム総合研究所の主幹研究員で総合防犯設備士の相川隆さんはこう指摘する。

 相川さんによると、ハード面の強化で物理的に侵入を防ぐ「水際対策」と同時に「『この家は見られているようで狙いにくい』と心理的な敷居を高くし、犯行を諦めさせる『予防安全』が不可欠」という。

 ミサワホームでは戸建て住宅にこの予防安全に基づく設計を採用。例えば道路に面した1階居室は、やや高い場所に大きめの窓「みまもりウインドウ」を配し、外から室内が丸見えにならないよう工夫するとともに、不審者に対しては「窓越しに家人と顔を合わせそう…」といった抑止効果を発揮する。

 また、「予防安全」と「水際対策」の両面でも阻止できない事態に備え、金庫や貴重品を見つからないように保管しておく「隠し蔵」の設置を提案。侵入されても室内の物色に時間を要し、何も盗まずに退散する「被害軽減」効果を狙う。

 一方で万全の対策を講じても、鍵を掛け忘れていれば元も子もない。警察庁の統計によると、窃盗犯の侵入手段で最も多いのは、一戸建ても共同住宅も「未施錠の玄関や窓から」で半数近くを占めるのが実態だ。

 そこで積水ハウスは、戸建て住宅のシリンダー錠に新開発の「しめ忘れお知らせキー」を導入した。施錠すると、鍵の持ち手の部分にオレンジ色の突起が出て「お知らせ」する仕組みだ。解錠後は突起が中に隠れる。外出先で「鍵かけたかな?」と気になっても、鍵を見れば一目で分かる。目の不自由な人も突起に「触れる」だけで識別できる。誰もが使いやすい「ユニバーサルデザイン」を取り入れた。積水ハウスは単純な原理で信頼性が高く、優れた働きをするシステムにこだわっているという。

 総合住宅研究所の峯永治課長は「どんなに堅牢(けんろう)な防犯設備でも、複雑になり過ぎて使いにくいものでは、せっかくの住み心地を損なってしまう」と話している。

(中山忠夫)

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