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【走り出す日本力】[古着、家畜の糞尿] リサイクルからバイオ燃料

走り出す日本力

「きれい」を支える企業の底力

【古着、家畜の糞尿】リサイクルからバイオ燃料

【古着、家畜の糞尿】リサイクルからバイオ燃料

水槽で養殖されるチョウザメ(北海道鹿追町提供)

リサイクルからバイオ燃料

 「トウモロコシからバイオエタノールができるのなら、服からだって作れるんじゃないの」

 リサイクル事業を手がける日本環境設計が世界に誇る技術を開発するきっかけは岩元美智彦社長(51)のそんな気軽な一言だった。

 大阪大と共同研究を始めたのは平成18年6月。約2年後、綿を特殊な溶剤で溶かしてバイオエタノールを製造する技術を開発した。回収した綿繊維が100%の場合、1トンの古着から実質500リットルのバイオエタノールが製造できるという。

 「国内では年間約94万トンもの衣料品が排出されており、これをなんとかして、再資源化につなげたい」と同社の技術開発を担ってきた高尾正樹専務(35)は話す。

 現在は衣料品を製造・販売する企業に呼びかけて年間50トンの古着を回収。愛媛県今治市の量産プラントで作られたバイオエタノールは地元のタオル工場のボイラー燃料に使われている。

 今後はさらなる古着回収を目指すが、「将来的には回収した服をもう一度、服に戻す技術を確立したい」(高尾専務)。同社の夢は広がる。

 北海道鹿追町役場から東へ約4キロ。リサイクル事業などを展開する鹿追町環境保全センターの約5万平方メートルの敷地には、周辺の酪農家から集めた牛の糞尿をメタン発酵させ、バイオガスを発生させる巨大な専用プラントが並んでいる。処理能力は1日94・8トンで、成牛約1320頭分に相当する。

 バイオガスを燃料に発電された電気はセンターの運用などに使われているが、昨年4月からは、発電の際に発生する余熱を活用した新たな挑戦を始めている。

 一つは養殖。研究棟にある水槽で泳ぐのはチョウザメだ。余熱で水温を19度程度に設定することで成育を促進させるという。「メスは8歳ほどで(高級食材の)キャビアが取れる。オスも食用としての販売が見込める」と同センターの城石賢一係長(46)。

 もう一つは、フルーツ・マンゴーの栽培だ。マンゴーの苗が植えられた温室は、秋~冬は30度に暖められ、6月頃~夏は冬に取りためた雪で冷やされる。

 「マンゴーを夏場に収穫したのでは本場の宮崎には到底かなわない。そこで、温室では夏と冬を逆転させることで冬場の収穫を可能とした。ゆくゆくはチョウザメと合わせて、地元の産業に育ってくれれば」。城石係長は願いを込める。

 これまで捨てられていた廃棄物を生まれ変わらせる技術が開く未来に、関係者らの期待が高まっている。

(三宅陽子)

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