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【走り出す日本力】[消せるボールペン]輸入禁止のナイジェリアで売る秘策

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【消せるボールペン】輸入禁止のナイジェリアで売る秘策

【消せるボールペン】輸入禁止のナイジェリアで売る秘策

現地の生徒にボールペンを贈呈するパイロットコーポレーションの社員=ナイジェリア・ラゴス(太陽インダストリーアフリカ提供)

輸入禁止のナイジェリアで売る秘策

 「筆記用具は何を使っていますか」。ナイジェリア最大の都市、ラゴスの小学校で3月中旬、日本から視察に訪れた文具最大手パイロットコーポレーション(東京都中央区)の男性社員が児童らにこう問いかけた。一斉に上がるボールペン。鉛筆やシャープペンシルは1人もいなかった。

 同行した貿易商社の太陽インダストリーアフリカ(文京区)の伊藤政則社長は「筆記用具といえばボールペンのナイジェリアは巨大市場になる」と期待に胸を膨らませた。

 同国は2013年に国内総生産(GDP)が南アフリカを抜き、アフリカ最大の経済大国に成長した。人口約1億7千万人を抱える有望市場だが、地場産業育成を理由にボールペンの輸入を禁じている。

 白羽の矢が立ったのが、年内にも現地の主要テレビ局と共同で、アニメなど日本の番組を流す専門チャンネルを立ち上げる太陽インダストリーアフリカだ。同社は番組輸出に加え、「鉄腕アトム」などの作品をもつ手塚プロダクションと現地でアニメ作家を養成する学校設立も計画している。

 伊藤社長は「作画の練習に最適なパイロットの消せるボールペンを指定画材として校内で限定的に販売できれば、書き心地の良さを伝えられる」と話す。

 在日ナイジェリア大使館も、パイロットが世界に先駆けて商品化した“消せるボールペン”の技術を高く評価する。伊藤社長は「専門チャンネルで宣伝を流せば相乗効果も見込まれる。日本の製品と文化を組み合わせて市場の閉塞(へいそく)感を解消できる」と力を込める。

 和紙に装飾を施した工芸品「江戸からかみ」を販売する東京松屋(台東区)は3月、イタリア・ボローニャで欧州の設計士らを集めて市場調査を実施した。

 同社は元禄3(1690)年創業の老舗。昨年7月から海外展開を本格化した。保湿性と通気性を兼ね備える和紙の機能性に加え、「350種類以上ある文様の美しさが強みだ。芸術作品として飾るという人もいた」(同社)という。すでに住宅の内装材として採用も決まったという。

 友禅から始まった丸枡(まるます)染色(葛飾区)も、伝統の染色技術を使った自社製ストールをフランスの大手百貨店に売り込んでいる。

(会田聡)

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