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デジタルハリウッド・アースプロジェクト2017
メイキングストーリー

いつか必ず処分しなければならない核のごみ。避けることができないその取り組みには、多くの人のコンセンサスが不可欠だ。どうすれば国民の関心が高まり、理解が深まるのか。若い才能が今年もこのテーマに挑んだ。約3ヶ月にわたるプロジェクトを追った。

最優秀作品賞を受賞した吉兼尚聡さん、吉原茂希さん、三代飛翔さん

2017年4月中旬、今回のプロジェクトテーマに関する説明会が開催され約30名が参加。
NUMO(原子力発電環境整備機構)の担当者から「高レベル放射性廃棄物の地層処分」に関する説明をされたが、ほぼ全員が同問題を認知していなかった。

プロジェクト説明会の模様

説明会後、13名の学生、受講生がプロジェクト参加を表明。
参加者を集めたアイデア出しの会議では、
「決定権がある上の世代の理解を深めなければいけない」
「明るい雰囲気・ギャグも入れて情報を伝える、怖いと感じさせない」
「地上に長期間保管することが危険であることを伝え、危機感を煽る」
「TwitterなどSNSでシェアされやすい表現にすべき」
自由な意見交換を通じて表現の方向性を探った。

参加者を集めて行われた会議の様子

その後、デジタルハリウッドのディレクターも交えた企画会議を経て全5チームを結成。
映像作品を制作する4つのチームと今回のプロジェクトを学内で広報PRするためのチームによりプロジェクトはスタートした。

作品タイトル「今と向き合う」を制作したチームは、昨年も同プロジェクトに参加した高橋さんが中心となって結成。

左から大野陽平さん、高橋佑弥さん、伊藤聖也さん、伊藤壱さん

作品タイトル「君は行くとこあるの?(Where is Ur home ?)」を制作した鴨下さんは、子育てをしながら専門スクールに通うお母さんクリエイターだ。

鴨下貴子さん

作品タイトル「on Your mark」を制作したチームは、吉原さんが中心となり、過去に受賞暦もあるという三代さんと吉兼さんが加わり結成された。

左から三代飛翔さん、吉原茂希さん、吉兼尚聡さん

作品タイトル「核の化身の家探し配信」を制作した村中さんと青葉さんは、プライベートでも仲良しということでタッグを組んだ。

左から村中海斗さん、青葉えるもさん

韓国人留学生の李さんと大学1年の安東さんに大学院生の田中さんが加わりPRチームを結成。

左から李受城さん、安東虎太郎さん

どうすれば、この問題を「自分ごと」として考えてもらえるのか。
各チームはテーマについて自主的に学びながら、テーマへの理解を深め、試行錯誤を繰り返しながら作品を練りあげた。



7月12日に開催された作品発表会で最優秀作品賞に選ばれたのは、「on Your mark」。地層処分が必要とされる社会的背景と、理解が進まない現状を丁寧に説明する動画で、制作期間中にNUMOを2回訪問し、正確な情報と現状の課題を学んで作品に織り込んだ吉原さんたちの行動力と真摯な気持ちが実を結んだ。

作品のコンセプトを語る吉原さん

NUMOへ訪問し、処分方法について説明を受ける吉原さんと吉兼さん

当事者意識の欠けた姿を突きつけ、見る人にショックを与える終わり方だが、吉原さんはこれこそが狙いだったと話す。「原子力発電のごみは他人事ではない。それを人に気づかせるのに、見る人の“裏”を突く、ドキッとさせるというのが一番やりたいことだった」。

自宅で映像編集作業をする三代さんと吉原さん

審査委員長を務めた杉山学長も「オチが本当に良かった。かなりインパクトがある」と高く評価し、「ビデオを見ても心が変わっていない、なんとかなると言ってしまう彼女が日本国民を代表している。客観的に、自分たちのビデオを見れば分かってもらえると思っていないのがすごいと思う」と解説した。

審査委員長の杉山知之・デジタルハリウッド大学学長

惜しくも最優秀作品賞を逃した4作品も力作揃いだ。高橋さんのチームが作った「今と向き合う」は、夢を追って音楽やダンスに打ち込む若者たちを描く群像劇で、未来につながる「今」から先送りできない地層処分について考えようと訴えた。

制作のエピソードを語る高橋さん

「今と向き合う」の制作の様子

鴨下貴子さんは主婦の目線から、処分場に送られる家庭ごみと、行き場のない核のごみを可愛らしいマスコットで表現した「君は行くとこあるの?(Where is Ur home ?)」で問題をストレートに表現した。

審査員のコメントに笑みがこぼれる鴨下さん

鴨下さんがデザインしたキャラクター

村中海斗さんと青葉えるもさんの“怪作”、「核の化身の家探し配信」は会場の笑いを誘った。奇妙なメークをした男性が、核のごみを擬人化した「核の化身」を名乗りインターネット生中継で家探し(=処分場探し)をするという、ゆるめのコメディーだ。視聴者のコメントが次々に流れていく若者に人気のインターネット中継のスタイルを取り入れたユニークさだけでなく、フィンランドで地層処分が進められている事例や、核のごみの処分に関する素朴な疑問などにも触れていたのが評価された。

核の化身のメイクに苦慮したと語った村中さん

核の化身のメイクの様子

PRチームは、大学内のデジタルサイネージなどに、物語仕立てのデザインを数回に分けて掲出する手法で認知拡大を図った。キャッチコピーを多言語で表記することで、留学生にもPRをすると同時に、地球規模の問題であることを印象づけた。

ポスターのデザインについて語る李さん

学内スタッフにポスターの掲出場所を相談するPRチームの李さんと安東さん

総評として杉山学長は「若い世代が社会に目を向け、大きな問題に向き合う貴重な機会を与えられた」と述べた。さらに杉山学長は「担うべき課題を自ら考え、行動した経験はデジタルメディアを通じて人と人が結びつく、より良い未来のための第一歩につながっている」と多様な表現が会場を彩った充実の時間に思いを寄せていた。

発表会には多くの学生たちが参加した

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