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「国家暴力を深く謝罪」 済州島4・3事件式典で韓国大統領 米国への謝罪要求の動きも

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「国家暴力を深く謝罪」 済州島4・3事件式典で韓国大統領 米国への謝罪要求の動きも

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3日、韓国・済州島で開かれた「4・3事件」の犠牲者追悼式に出席し、黙とうする文在寅大統領夫妻(共同) 1/3枚

 【ソウル=名村隆寛】韓国南部の済州(チェジュ)島で島民数万人が殺害された1948年の「済州島4・3事件」から70年となった3日、現地では文在寅(ムン・ジェイン)大統領が出席するなか、犠牲者の追悼式が行われた。

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 事件は朝鮮半島の分割統治下で、南側での単独選挙に反対した南朝鮮労働党(現・北朝鮮の朝鮮労働党の南部組織)による武装蜂起が発端というのが定説。同年5月に総選挙が行われ、8月に李承晩(イ・スンマン)氏が初代韓国大統領に就任し政権を発足させるなか、武力闘争と鎮圧により「54年までに済州島の人口の10%である3万人が死亡したと推定」(文大統領)されている。

 式典で演説した文大統領は「国家の暴力によりあらゆる苦痛を与えたことに改めて深く謝罪する」と明言。「国家権力が加えた暴力の真相を明らかにし、犠牲者の無念を晴らし名誉回復を図る」と述べ、犠牲者の遺骨発掘事業を徹底的に続けることを約束した。

 4・3事件をめぐっては、左派の金大中(キム・デジュン)政権で真相糾明特別法が制定され、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が2006年に大統領として初めて追悼式に出席し、事件への国の責任を認め犠牲者や遺族、島民に謝罪した。文氏の出席は盧氏以来2回目。

 4・3事件は韓国で「共産主義者の暴動」「鎮圧による虐殺」という2つの解釈により理念の対立が続いている。金大中、盧武鉉政権の流れをくむ文氏は「事件の真実から顔を背け古い理念で屈折した見方をする者もいるが、不幸な歴史を直視すべきだ」と訴え、暗に保守派を批判した。

 4・3事件について韓国の労組など左派系団体は、「新社会を建設するための労働者や民衆による自主的闘争だった」と主張。その上で、事件当時の韓国側が「米軍政下」にあったことから、「鎮圧の武器は米国が提供した」「事件の虐殺責任は米国にある」などと米国に直接の謝罪と真相究明を求めている。

 こうした動きは、過去の保守政権を否定する文政権が進める「歴史見直し」の流れに沿ったもので、韓国国内では対米関係の悪化を懸念する声も少なくない。

 ■済州島4・3事件 1948年4月3日、分割統治下の朝鮮半島の南側で単独選挙が行われる動きに、南朝鮮労働党が反対し済州島で武装蜂起。鎮圧過程で多数の死者が出た。死者数は諸説あり、少なくとも約1万4200人の島民が犠牲となった。武装蜂起と関係のない市民も多く巻き込まれ、2万5千~8万人との分析もある。事件当時、難を逃れた島民が大量に日本に渡ってもいる。

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  • 3日、韓国・済州島で開かれた「4・3事件」の犠牲者追悼式に出席した文在寅大統領(共同)
  • 3日、韓国・済州島で開かれた「4・3事件」の犠牲者追悼式で演説する文在寅大統領(共同)