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【天安門事件28年】著名活動家・胡佳氏「形変え鎮圧は続いている」 

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著名活動家・胡佳氏「形変え鎮圧は続いている」 

天安門事件28年更新
北京市内で取材に応じる胡佳氏。香港選挙の民主化要求デモ「雨傘運動」を支援するTシャツを着ていた(西見由章撮影) 1/1枚

 【北京=西見由章】中国当局が民主化運動を武力弾圧した天安門事件から6月4日で28年となった。2008年に欧州議会の人権賞「サハロフ賞」を受賞した著名な活動家、胡佳氏(43)は北京市内で産経新聞の取材に応じ、「銃から手錠、監獄に形を変えて鎮圧は続いている。今も六四(リュースー=天安門事件)は終わっていない」と強調した。

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 「1989年6月4日は私にとってもう一つの誕生日だ」。当時、中学3年生の15歳だった胡氏は大学生らに混じり天安門広場周辺のデモに参加していた。軍による鎮圧が始まったのは3日深夜。「私が街に出ようとするのを父が必死で止め、もみ合いになった」

 だが胡氏は4日早朝に自宅を抜け出し、天安門広場から東へ約10キロの鉄道橋近くで遼寧省の部隊と対峙する。「市中心部では庶民や学生が殺された」。市民らはこう言って部隊を制止した。

 やがて兵士がトラックの荷台から飛び降り至近距離から発砲。「必死で逃げて靴が脱げそうになった。銃弾が一発当たれば、自分は地面に倒れて二度と父母や妹に会えなくなる。心臓の鼓動が早くなるのがわかった」

 十数メートル逃げて後ろを振り返ると倒れている人はいない。威嚇射撃だった。「私は人が殺された現場は目撃していないが、軍人が市民に向け発砲した現場を確かに見た」。市中心部から逃げてきた負傷者から、市民が殺されたことも聞いた。

 「この日見たこと全てが私を覚醒させた。体制に対していかなる妥協もしなくなった。6月4日は、より公正な世の中にしなければならないと自省する日だ」

 この日から肉食もやめた。「殺人こそ世界で最も恐ろしいことだと感じた。仏教の戒律の一つが不殺生だ」。その後、胡氏は在家の仏教徒となった。

 大学卒業後、HIV(エイズウイルス)感染者への支援活動などに従事する。事件から15年となる2004年4月に天安門広場で献花し、当局に拘束された。08年4月、「国家政権転覆扇動罪」で懲役3年6月の実刑判決を受けた。

 「中国人は今も国事を論ずることができない。だが、政治に関心を持たないということは、正義に関心を持たないということだ」

 香港では反中意識が高まり独立派の勢力が拡大しているが、胡氏は独立運動について「支持できない」と明言し、「中国大陸の民主化によってこそ香港の民主と自由が保障される」と語った。