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【湯浅博の世界読解】「9条は日本を危険にさらす」と米紙が論評 2020年の「地殻変動」にどう備えるか

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「9条は日本を危険にさらす」と米紙が論評 2020年の「地殻変動」にどう備えるか

湯浅博の世界読解更新

 安倍晋三首相による「2020年に新憲法施行を」との決意表明は、日本が島国から脱して海洋国家になる宣言のように聞こえた。2020年といえば東京五輪・パラリンピックの開かれる年であり、いや応なく1964年に開催された前回の東京五輪を思い起こさせるのだ。

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 あの年の10月、中国は東京五輪のさなかに初の核実験を強行し、ソ連ではフルシチョフ首相が解任されるという国際政治の転換点であった。とりわけ、中国の「核実験成功」という知らせは、華やかな東京五輪をかき消す衝撃として世界を駆け巡った。

 その数カ月前、京都大学の高坂正堯助教授が雑誌論文で、「イギリスは海洋国家であったが、日本は島国であった」との修辞法で防衛強化の警鐘をならした。海を活用する英国と、海を背に閉じこもる日本を比較して海洋国家として自立するよう促した。

 中国の核実験は、日本が核を持った大陸国家と対峙(たいじ)することを意味した。その中国はいまや、地域覇権を目指して米国に挑戦し、東シナ海ではわが尖閣諸島の奪取を狙う。しかも、北朝鮮の核開発が、日本に対して時代錯誤の「専守防衛」から、攻撃力を含む現実的な「積極防衛」への転換を迫っている。

 しかし、高坂の警告から半世紀が過ぎても、日本は彼が定義した海洋国家に脱皮することができない。野党はいうに及ばず、自民党内ですら「積極防衛」を可能にする憲法9条改正への動きが鈍い。せいぜい緊急事態条項の挿入を掲げて9条の“本丸”に攻め込むことを避けてきた。

 安倍首相が目標とする「2020年」は、安全保障上も微妙な年にあたる。この時期は、北が米国に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)と核の小型化が完成すると見込まれる。1964年の東京五輪のように2020年東京五輪もまた、国際政治の地殻変動が起こる懸念があるのだ。

 そのタイムリミットに向けて、朝鮮半島は今以上に緊張をはらみ、近距離にある日本は間違いなく対応が問われる。米紙ウォールストリート・ジャーナルの社説は、安倍首相の決断を評価しながら、「いまや第9条は、日本を危険にさらしつつある」と逆説的に論評している。同紙は集団的自衛権を行使するために、防衛力に加えて攻撃力をもって抑止力を強化するよう強調している。