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食料廃棄の削減に欧州が本腰 「無駄捨て」対策に税制優遇や罰則強化 国連の半減目標などが後押し

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食料廃棄の削減に欧州が本腰 「無駄捨て」対策に税制優遇や罰則強化 国連の半減目標などが後押し

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 【ベルリン=宮下日出男】欧州で食料廃棄の削減に向けた動きが活発化してきた。税負担軽減や罰則導入で、慈善団体への提供など余剰食料の有効活用を促している。とくに先進国では売れ残りなど食料の「無駄捨て」が多いことが問題視されてきたが、国連が食料廃棄半減の世界目標を打ち出したこともあり、対策を強化する。

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 「最も美しく、実践的な遺産だ」。イタリアのマルティーナ農林相は3日、食料廃棄削減に向けた関連法が上院で超党派の圧倒的多数で可決、成立したことを受け、こう胸を張った。

 関連法は食料品店や飲食店に対し、賞味期限切れなどで不要になった食料を寄付する手続きを簡素化し、寄付に応じてゴミ関連の税金を軽減する内容。食料は慈善団体などにより生活困窮者に配給され、貧困対策の効果も期待される。

 イタリアでは食料の廃棄量が年500万トン、処理費用は約13億ユーロ(約1500億円)と試算され、政府は100万トンの廃棄削減を目指す。同国では飲食店で客が食べ残りを持ち帰る習慣は少ないが、その促進に100万ユーロも投じる計画だ。

 フランスでは今年に入って一定規模以上の大型スーパーに対し、食べられる売れ残り食品の廃棄を禁じる法律が成立。食品は慈善団体などへの寄付が義務付けられ、違反すれば3750ユーロの罰金が科される。

 国連食糧農業機関(FAO)によると、世界の年間食料廃棄量は約13億トンで、生産量の約3分の1。途上国では技術が不十分で多くが収穫・加工時に失われるが、欧米では小売り・消費段階での廃棄が多い。消費者1人当たりの廃棄量はサハラ以南のアフリカと南・東南アジアが6~11キロなのに対し、北米・欧州は95~115キロと際だっている。

 FAOは先進地域の廃棄量の約半分を、消費可能な食料が含まれるなどの「無駄捨て」とみている。国連で昨年採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」は2030年までに小売り・消費段階での1人当たりの廃棄量を半減させると掲げ、国際社会の動きに欧州も押されている形だ。

 欧州ではデンマークが10年以降、食料廃棄量を25%削減するなど先駆的な取り組みで知られるが、政府は新たな補助を設け、さらに推進する方針。国内では余剰食品専門の飲食店や食料品店も成功を収めている。

 欧州連合(EU)も今月、「食料廃棄の削減は社会、経済、環境、政治的な関心事」(欧州委員会)として専門家委員会を発足。今後、EUとしての取り組みの検討を本格化させる。EUの統計では食料廃棄全体の約5割を家庭からの排出が占め、飲食店や食料品店にとどまらない幅広い対策が課題となりそうだ。

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