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【関西の議論】町民あ然、全面禁煙の施設屋上で職員らこっそり喫煙…奈良・王寺町、「抜け道利用」に批判

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関西の議論

町民あ然、全面禁煙の施設屋上で職員らこっそり喫煙…奈良・王寺町、「抜け道利用」に批判

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全面禁煙のやわらぎ会館の屋上にある喫煙スペース。隣の町庁舎の職員らが頻繁に利用していた=奈良県王寺町 1/8枚

 奈良県内で初めて庁舎敷地内の全面禁煙に踏み切った王寺町で、町役場と渡り廊下でつながる隣接の町施設の屋上にこっそり関係者用の喫煙スペースが設けられ、町職員らが行き来して日常的に喫煙していたことが分かった。産経新聞の取材を受け喫煙スペースは19日に閉鎖されたが、同町は先月、町内全域で歩きたばこを禁止する条例を施行するなど、本腰を入れて受動喫煙対策に取り組んできただけに、「町民への裏切りではないか」との声も上がっている。(石橋明日佳)

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「全フロア禁煙」の抜け穴

 この施設は平成7年に建設された「王寺町やわらぎ会館」で、町民らが楽器の練習や集会などで使用する貸しスペースのほか、図書館や教育委員会などが入居。町民の憩いの場として親しまれている。

 4階建ての2~3階部分が隣の町役場庁舎と渡り廊下でつながっており、誰でも自由に行き来できる。駐車スペースは町庁舎と共有。建物の案内板には「王寺町やわらぎ会館」と「王寺町役場」が並列表記されており、事実上、町役場と同じ敷地内にある。

 同館の入り口や建物内には「利用者のみなさまへ 敷地内は禁煙」との注意書きが貼られている。ホームページにも「全館・全フロア禁煙となっています。喫煙コーナーも設けておりませんので、ご注意ください」と記載され、町庁舎同様、禁煙が徹底されている。

 ところが、一般の者が立ち入れないこの屋上が職員らの喫煙スペースとなっていた。

入れ代わり立ち代わりで「食後の一服」

 2月中旬のある日。4階から屋上に出る暗い階段を上り、「関係者以外立ち入り禁止」の扉を開けると、目の前に飛び込んできたのは灰皿と水が入ったペットボトル。雨天でも一服できるよう簡易テントが張られ、灰皿にはたくさんの吸い殻が残されていた。

 正午に昼休みを告げるチャイムが鳴ると、ネームプレートを首から下げたさまざまな年齢層の職員が庁舎から渡り廊下を歩いて、やわらぎ会館の屋上にいく光景を目の当たりにした。エレベーターは頻繁に4階で止まり、弁当や飲み物を携えた職員が次々と続く。

 談笑する声は階下まで響き、食後の一服を楽しんでいる様子がうかがえる。庁舎外でランチを終えた職員も、たばことライターを持ち、足早に屋上まで駆け上がっていった。

 昼休みが終わる午後1時までの間、20人近くが入れ代わり立ち代わりで喫煙スペースを利用。その後も職員らが足しげく屋上に向かう様子が見て取れた。

 関係者によると、喫煙スペースは庁舎敷地内が全面禁煙になったのと同時期に設置されたという。ある職員は「完全分煙という形だ。部外者が入らないようになっているので、屋上での喫煙は問題ない」と説明する。

 だが、関係者は「町が庁舎敷地内の全面禁煙を決めたにもかかわらず、隣接する施設にこっそりと喫煙スペースを設けたのは取り組みに水を差している。町民を裏切っていることになるのではないか」とため息をついた。

写真ギャラリー

  • 複数の吸い殻が捨てられていた、やわらぎ会館屋上の喫煙スペースの灰皿=奈良県王寺町
  • やわらぎ会館(右)と隣接する王寺町役場(左奥)=奈良県王寺町
  • やわらぎ会館(右)と王寺町役場(左)は2~3階部分が渡り廊下でつながり、自由に行き来できる=奈良県王寺町
  • やわらぎ会館の入り口には「敷地内禁煙」の張り紙が=奈良県王寺町
  • やわらぎ会館の4階から屋上につながる階段には、「関係者以外立入禁止」の柵が置かれている=奈良県王寺町
  • 王寺町やわらぎ会館の案内版(左手前)には、「王寺町役場」も並列表記されている=奈良県王寺町