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【平昌五輪】年齢重ね輝くアスリート 葛西にカズ、イチロー…輝き続ける秘密は

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年齢重ね輝くアスリート 葛西にカズ、イチロー…輝き続ける秘密は

平昌五輪更新
ノルディックスキー・ジャンプ男子ノーマルヒル決勝で2本目を終えた葛西紀明。メダルを逃し、ラージヒルでの雪辱を誓った=10日夜、平昌(松永渉平撮影) 1/2枚

 平昌五輪ノルディックスキー・ジャンプ男子ノーマルヒル決勝に10日、8度目の五輪となる葛西紀明が挑んだ。45歳を迎えてもなお第一線で活躍する姿に、鼓舞されている中高年も少なくない。最近はサッカーの三浦知良(50)や大リーグのイチロー(44)といった葛西同様、年を重ねても輝きを放ち続ける選手も多い。彼らの強さの秘密はどこにあるのか。(吉国在)

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 海外でも歌が作られるほど、多くの注目と尊敬を集める葛西。決勝の1回目で、30番目に登場すると、ひと際大きな歓声が湧いた。体勢をやや崩しながらも粘って104・5メートルまで運び、ベテランの技を披露した。2回目もK点を越えたが、思うように飛距離を伸ばせなかった。「これからいいジャンプがどんどん出てくると思う」。少し悔しそうな表情を浮かべながらも、次戦のラージヒルを見据え前を向いた。

 41歳で臨んだ前回のソチでは、ラージヒルで銀。それだけでも十分「レジェンド(伝説)」に値し、並の選手なら有終の美となるが、葛西は現役を続行し平昌代表の座もつかんだ。

 なぜ、ここまでできるのか。「非常にストイックで高いモチベーションを持ち続けているからだ」。スポーツジャーナリストの二宮清純氏は、こうみている。

 葛西は、体重はグラム単位で管理し、落ちなければ厳しい減量もいとわず、激しいトレーニングも決して欠かさないとされる。

 これは50歳でサッカーの現役を続けるカズ(三浦)も同じで、練習が始まる何時間も前にクラブハウスへ来て体幹トレーニングなどをこなしているという。

 一方、科学的なアプローチの一助を挙げる専門家もいる。

 近畿大医学部(抗加齢医学)の山田秀和教授は「最新の運動生理学や栄養学、心理学をもとにしたトレーニング方法や食事療法が米国から積極的に導入され、アスリートの現役期間が伸びているのではないか」とみている。

 カズは、自分を厳しく律しているほか、フィジカルトレーナーから助言を得ているとされ、葛西も外国人コーチからトレーニング方法を学び転機になったとする。

 ただ、最終的には、本人の資質が大きいと専門家は口をそろえる。葛西は、過去7度の五輪で金メダルは獲得していない。二宮氏は「五輪で心の底からの達成感を得られていないのだろう。このためジャンプの方法を改良・工夫する『終わりなきイノベーション』を続け、体力の低下を技術で補っている」と分析する。

 42歳で日米通算4257安打の世界記録をマークしたイチローも小学生の頃に毎日練習していた際、近所の人から「プロ野球選手にでもなるつもりか」と笑われた悔しさを原動力に続けてきたという。

 「こうした選手の多くはライバルが他人ではなく自分自身と闘っている」。三浦雄一郎さんの80歳でのエベレスト登頂時に主治医を務めた白澤抗加齢医学研究所所長の白澤卓二医師も、こう説明する。

 考え方を少し変え、周りの知見を取り入れて目標に向かう…。彼らの生き方は会社員や経営者ら一般にも十分通じるとみている白澤医師は「あらゆる分野で息の長い人材が、今後、どんどん出てくるのではないか」と期待している。

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