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「生きるのが、死ぬよりつらい」…高校生、過労死を考える 過労死遺族らが出前授業

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「生きるのが、死ぬよりつらい」…高校生、過労死を考える 過労死遺族らが出前授業

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大阪府立西野田工科高校では、定時制課程の生徒らが「全国過労死を考える家族の会」代表、寺西笑子さんの講義を受けた=2月8日、大阪市福島区(小野木康雄撮影) 1/1枚

 過労死・過労自殺の遺族や弁護士が、高校で自らの体験を語る「出前授業」が各地で本格化している。受け入れた学校は定時制高校から全国有数の進学校まで幅広く、3月までに約140校で実施する。電通の過労自殺問題を受けて生徒の関心も高いという。(小野木康雄)

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命を大切にする国に

 東大合格者数が全国有数の私立灘高校(神戸市東灘区)で2月1日、2年生220人が現代社会の授業で遺族の西垣迪世(みちよ)さん(72)の講演を聴いた。

 西垣さんは平成18年にシステムエンジニアの長男=当時(27)=を亡くした。長男は最長で約37時間連続勤務という過酷な長時間労働に、性能向上などに伴う仕様変更と納期へのプレッシャーが重なり、鬱病を発症。自身のブログには「このまま生きていくのが、死ぬよりつらい」と書き残していたという。

 西垣さんは授業で、「これ以上若者を使い捨てにしないように、この国の働き方は変わらねばならない。ワークルールを学んで、命を大切にする国づくりを目指してほしい」と訴えた。

 政府の働き方改革をめぐる議論が進む中、将来の日本を支える若者たちも、過労死を自らのこととして受け止めた。

 医学部志望という田村勇亮さん(17)は「周りには勉強のしすぎで自分を見失う人がいる。過労死に至った人たちも、自分がどれだけ疲れていたのか、客観的に分からなかったのだと思う」と言い、官僚を志す金子友祐さん(17)は「労使が別々に対策を考えるのではなく、問題意識を共有することが大切」。政治家を目指す阪上慶一郎さん(17)は「同じ境遇のご遺族に語ってもらう機会を増やせば、防止につながるのではないか」と提言した。

教職員向けにも

 大阪府立西野田工科高校(大阪市福島区)の定時制課程。昼間に働きながら勉学に励む生徒も多く、労働は身近な問題だ。2月8日に、今春卒業の4年と3年の生徒約20人が「全国過労死を考える家族の会」代表、寺西笑子さん(68)の講義を受けた。

 寺西さんは「社会には、長時間労働を評価する文化がいまだにある。正しい知識を持ち、自分の働き方がおかしいと気づいたら、先生や公的機関に相談してほしい」と呼びかけた。

 進学資金を貯めるためにスーパーで働いている3年の香村輝博さん(19)は「自分と同年代の人たちが過労死していると知り、悲しかった。自分も気をつけて働きたい」。一方、鉄工所で勤務する4年、松内克博さん(29)は「長時間の残業はしんどいけれど、お金がもらえる。中小企業では、残業代で稼がないと生活できない苦労がある」と指摘し、「個人差がある以上、過労死をなくすのは難しいのではないか」と語った。

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