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【阪神大震災22年】知らない世代(3)命を守る笛5000個製作 次の災害に恐怖覚え

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知らない世代(3)命を守る笛5000個製作 次の災害に恐怖覚え

阪神大震災22年更新

 「いつかは次の災害が起こる。その時になって、『自分にできることがあったのに』と後悔したくない」

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 そんな思いから、立命館大経営学部4年の横山玖未子(くみこ)さん(22)は、自ら企画した「防災笛」を配布する活動を続けている。地震でがれきに埋まって身動きが取れなくなってしまった場合、笛を吹いて自分の居場所を伝えて救助を求める道具だ。

 阪神大震災の2カ月前に生まれ、震災で大きな被害を受けた神戸市須磨区で育った。もちろん被災の記憶はないが、成長の過程は震災後の街の歩みと重なる。毎年の追悼行事や学校での被災体験の語り継ぎ。「震災から10年になると周りから『あなたも10歳だね』といわれる。当時のことは知らなくても震災を人ごとだとは思えない」と話す。

 平成26年夏、20歳を迎えるのを前に兵庫県淡路市にある北淡震災記念公園に向かった。保存されている大きくずれた断層や被災地の再現模型などを見学。近い将来に発生が予想されている南海トラフ巨大地震では、死亡者が30万人に上るという試算があることを知り、改めて恐怖を覚えた。

 「何もしなければ、また大勢の犠牲者が出てしまう」。震災20年の節目が過ぎた一昨年の春、同じような問題意識を持つ友人らとともに行動を起こした。

 命を守るために防災笛が有効だと思い立ち、ビジネスや社会活動のアイデアを競うコンテストに参加。このアイデアが認められて資金を獲得し、さらに大学からも活動助成金を得て、防災笛を製作する計画を進めた。

 インターネット上のコンペで笛のデザインを募集したほか、製造する工場も紹介してもらうなど、周囲の協力を得ることができた。

 昨年3月、普段から携行してもらおうと、携帯電話のストラップとしても使えるように短いひもをつけた防災笛が5千個完成。一部を東日本大震災の被災地で無料配布したが、そのほかは1個300円で販売している。「ただでもらった物って、粗末に扱ってしまう。趣旨に共感して買ってくれる人に持ってほしい」という思いからだ。

 売上金は昨年4月に発生した熊本地震の被災地で活動するボランティア団体に寄付する。「災害は決して遠くの出来事じゃない。一人でも多くが防災に関心を持ってくれたら」と語った。

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