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【衝撃事件の核心】〝小悪魔〟75歳おばあちゃんが昏睡強盗 色気で手玉…法廷で被害男性もエールの異様

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〝小悪魔〟75歳おばあちゃんが昏睡強盗 色気で手玉…法廷で被害男性もエールの異様

衝撃事件の核心更新

 外見はどこからどう見ても、ただのおばあちゃん。だが、同年代の男性にはめっぽうモテるらしい。一緒にラブホテルに行き、睡眠薬入り飲料を飲ませて現金を奪ったとして、4件の昏睡強盗罪に問われた75歳の女の公判が大阪地裁で開かれている。女は一部を除いてほとんどの起訴内容を否認。「男とホテルに行って金をもらうのは当然」とうそぶき、被害者とされた50~60代の男性らも下心があった、と赤裸々に告白した。証人出廷した男性らの中には、処罰感情を表すどころか、小さくガッツポーズして女にエールを送る人もいて、何とも不思議な空気が漂った。法廷で垣間見えた高齢者の「性」の実態とは。

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白髪のツインテール

 昨年12月、大阪地裁での初公判。白髪の女は首も据わらないほど衰弱した様子で車いすに乗せられ、法廷に姿を見せた。

 裁判長から氏名を問われると息も絶え絶えに名乗り、起訴状朗読後に「今読み上げた事実に違うところはありましたか」と聞かれると、左手を力なく振って、消え入りそうな声で「はい…」と否認した。体力面を考慮し、初公判はそこで打ち切りとなった。

 「こんなおばあちゃんに昏睡強盗なんてできるのか」。傍聴していた誰もがそう思ったに違いない。

 だが、今年1月に開かれた第2回公判では、見違えるほど元気になっていた。髪は耳の後ろで2つに結ぶ「ツインテール」で、ベージュのズボンにグレーのセーターとベスト。寒いのか、その上にダウンジャケットを羽織っていた。

 弁護人によると、女には高血圧などの持病があり、初公判の日は体調が悪かったのだという。

 それにしても、まるで別人だ。

検察「逆ナン」主張

 起訴された4つの事件は平成26年7月~27年2月、いずれも睡眠薬入りの飲み物で男性を眠らせ、現金などを奪ったというものだ。

 《ケース(1)》Aさん(58)、ホテルで3万5千円と携帯電話を奪われる。

 《ケース(2)》Bさん(69)、ホテルで3万3千円と携帯電話を奪われる。

 《ケース(3)》Cさん(66)、カラオケ店で3万円と携帯電話を奪われる。

 《ケース(4)》Dさん(65)、ホテルで4万4千円と36万円相当のロレックスの腕時計を奪われる。

 これらの起訴内容について、女は4人とホテルやカラオケ店に行ったことは認め、うち(4)については現金と時計を盗んだことを認めた。だが(1)~(3)は無罪を主張し、いずれのケースでも睡眠薬入り飲料を飲ませた点は否認している。

 検察側は女と男性たちの出会いのきっかけを、女から声をかけた「逆ナン(パ)」だと主張しているが、証人出廷した被害者の公判証言は少しニュアンスが異なっていた。

誘ったのは男性?

 清掃業のBさんは、26年8月の事件の数日前に大阪・梅田の地下街で女に出会った。どちらから声をかけたかは定かではないというが、Bさんは「縁があるかもしれないから、電話番号を教えてくれませんか」と連絡先を聞いた。

 数日後、Bさんは女と約束を取り付け、再会。Bさんの仕事が夜勤だったことから、待ち合わせは仕事終わりの午前5時半という奇妙な時間だったが、女は約束の場所に来てくれた。

 近くのカツ丼屋で2人で定食を食べた。女は60代前半だと言った。Bさんは女をホテルに誘った。「自然な流れ」だったという。

 「性行為ができると考えましたか」

 証人尋問で検察官からホテルに誘った理由を聞かれると、Bさんは「うーん…。そういう気持ちはあったけど、雰囲気というか」と曖昧に答えた。

 ここからはBさんの証言ベースで当日の様子をたどってみる。

 ホテルの部屋に入ると、Bさんは「気持ちだけ」と言って女に5千円を渡した。その後、シャワーを浴びて浴室を出ると、女は事前に自動販売機で購入した茶を男性に差し出した。

 「お茶飲み。ほらぐぐっと飲みいや」

 勧められるがままにBさんは茶を飲み干してベッドに横になり、女の体を触り始めた。だがどういうわけか、異様に眠い。「眠とうなってきた」と言うと、女は「ちょっとゆっくりしよか」と優しくささやいた。そして、記憶が途切れた。

 「お客さま!」

 ホテルの従業員に体を揺すられて目覚めたのは、数時間後のことだ。女の姿はなく、財布からは現金がなくなっていたとBさんは語った。

「売春するつもりあった」

 27年2月に被害に遭ったという無職のDさんは、声をかけたのは自分からだったという。

 朝、百貨店の開店を待っていたときに女を見かけ、「コーヒーくらいどうですか」と誘った。どちらが切り出すともなくそのままホテルに行くことになり、一緒に風呂に入った。女の裸体を見て「僕が思てる年齢よりはいってはるな」と感じたというが、Dさんは女を求めた。

 そして「飲んで」と言われた茶を飲み、耳かきなどをして戯れ、いつの間にか意識を失った。

 女はどういうつもりで、男性たちとホテルに行ったのか。被告人質問で、理由の一端を語っている。

 検察官「性交渉して金をもらおうと思った?」

 女「性行為をしなくてもお金はもらうつもりでしたよ」

 検察官「えっ…、それは何の対価として?」

 女「私と男性は赤の他人、導きで会った仲。ホテルで一緒の時間を過ごして、女性に男がお金くれるのは当然でしょ」

 検察官「売春するつもりはあった?」

 女「あったかもしれません」

 検察官「ホテルに行った目的は?」

 女「時間つぶし。このオジサン、ちょっと遊んだらお金くれるかなって、軽い気持ちです」

 まるで「援助交際」について問いただされた10代の少女のような言い分だ。そう思ってもう一度、女を観察してみる。

 二重まぶた。若いころはもっとぱっちりしていたのだろう。小柄で細身。声も女性らしい、愛らしさがある。だが、やっぱり70代のおばあちゃんだ。

「60代は泥棒稼業」

 女は唯一、Dさんの所持金約4万円と高級ブランド時計を「盗んだ」ことは認めている。その動機として「男に勧められてお茶を飲んだら寝てしまった。起きたら頭が痛くて『この男、お茶にミンザイ(睡眠剤のこと)でも入れたな』と思って頭にきて盗んだ」と述べた。睡眠薬を飲ませたのはDさんの方だというのだ。

 真偽はともかく、弁護人から「男性とホテルに入るのは、所持金を取ってやろうと思ってのこと?」と尋ねられ、「昔はね、そういうことありましたよ。60代の泥棒稼業してるときはね。でも今はいい人と一緒になって、お金の心配もないし」と改めて否認した。

 くるくるとさまざまな表情を見せる女。男性にはそれが〝小悪魔的〟な魅力として映ったのだろうか。被害者の男性たちは女への処罰感情を問われても「高齢な人みたいなので穏便に」などと求め、ある人は「頑張れ」とばかりに、女に向けて小さくガッツポーズをしてみせた。

 昨今、若い世代は性に消極的になっているといわれるが、反対に高齢者はまだまだ性に積極的なのだろうか。

 検察側は懲役7年を求刑した。判決は2月2日に言い渡される。