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農業で「国家戦略特区」 週内提案、規制緩和し外国人活用

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農業で「国家戦略特区」 週内提案、規制緩和し外国人活用

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 県内農業の活性化に向け、県が農業分野で内閣府所管の国家戦略特区に提案することが12日、関係者への取材で分かった。これまで規制されていた農業での外国人材を活用したモデルケースを提案するほか、最先端技術の農業への普及などに関しても規制緩和による活性化を進める。県が目指す新しい農業のあり方をまとめ、週内に提出する。 

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 国家戦略特区は、アベノミクスの成長戦略の目玉に掲げられ、農業のほかに介護や医療、教育などの分野で地域を限定し、大幅な規制緩和や税制優遇を図る。現在、東京圏や新潟市、広島県と今治市、秋田県仙北市など10地域が特区に指定され、45項目以上の規制改革が行われている。

 県提案の柱は、農業での外国人材活用。今年6月、改正国家戦略特区法案が成立し、農業に関しては特区指定区域に限り、従来は認められなかった労働力として農作業に従事する外国人の入国や在留が可能になった。県はこの改正法を活用し、外国人が効率的に就農できる仕組みを整える。

 標高が10メートルから1400メートルと変化に富んだ県内の地形や自然条件を生かし、季節ごとに複数の農家を組み合わせて働くことや、一時帰国を可能にし繁忙期のみ働くことなど、県内各地域の多様な営農形態に合わせた複数のモデルケースを想定。労働力確保だけでなく、外国人をビジネスパートナーとして育成することで、将来的に有力輸出先にするなど海外販路拡大につながるメリットがあるとしている。対象は主にASEAN(東南アジア諸国連合)を想定している。

 このほか、小型無人機・ドローンや人工知能(AI)など最先端技術を使った病害虫予防対策などについても規制緩和を求める方向で、外国人材活用と合わせ計3つの柱を設け、農業競争力強化プログラムとして国に打ち出すという。

 県内農業をめぐっては、平成27年の農業産出額は2550億円で4年連続で増加。過去10年の伸び率16%は全国1位と明るい材料がある。その一方、27年の農林業センサスによると、県内農業就業人口は5年前に比べ約23%減少。就農者の高齢化も進む。

 さらに、日本とEU(欧州連合)との経済連携協定(EPA)の7月の大枠合意で農畜産業への影響が懸念されるなど、県内農業を取り巻く現状は厳しい。それだけに県は、外国人材活用と同時に、情報通信技術(ICT)開発などにも力を入れ、複合的に県内農業を発展させたい考えだ。

 ◇就農外国人入国や在留OK

 6月に成立した改正国家戦略特区法により、農業分野では特区指定区域に限り出入国管理及び難民認定法の特例として農作業に従事する外国人の入国や在留が可能になる。従来は外国人の在留資格「特定活動」に農業が含まれておらず、労働としての就農は認められていなかった。

 技能実習生が農作業を行ってきた例は多いが、あくまで自国への技術移転が目的。原則、一時帰国はできず、一カ所の農家でしか働けないなどの制約がある。

 国が想定しているのは実習生の受け入れではなく、あくまで即戦力となりうる外国人の受け入れ。しかも実習経験や知識など一定水準以上の技能を条件に複数農家で季節ごとに就農できるなど柔軟性を持たせる。

 ただ、少子高齢化に歯止めが掛からない現状で、外国人に頼ることが担い手不足の根本的解決になるのかとの指摘もある。限られた人数で生産性を高める「新たな農業」へのシフトも求められる。