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漫画海賊版は格好悪い サイト問題「最大の被害者は読者」弁護士に法的問題を聞く

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漫画海賊版は格好悪い サイト問題「最大の被害者は読者」弁護士に法的問題を聞く

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 ただ、福井弁護士は法規制と並んで、「海賊版=格好悪いという文化」の醸成こそ鍵だと訴える。

 「誰も見なければ、どんな海賊版サイトも滅びます。出版社側の営業努力や法規制とともに、海賊版を使うのはイケていない、という流れを育てることが大事です」

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「有料化」を宣言するサイトまで

 ここへきて従来とは“異次元”といえるほどの規模の海賊版サイトが、存在感を高めている。数万点という漫画を高画質・無料で読ませ、月間の訪問者数(延べ)は億を超えるとされる。このサイトは3月に入り「有料化」を打ち出し、海賊版ビジネスを広げると宣言した。

 「このサイトは、『漫画家さんが無料で広告してくれた』と挑発的な記載をするなど、一部海賊版サイトに見られる“きれい事の言い訳”もありません。むしろ、既存の漫画ビジネスに対する何らかの破壊衝動があるのではないか、とすら感じるほどです」

 また、同サイトには「(日本の著作権法が適用されず)違法ではない」という説明がある。福井弁護士は、「日本の漫画ばかりを日本語のサイトで提供し、読者もほぼ日本からのアクセスである以上、“侵害の結果”は日本で発生しており、日本の法律(著作権法)は適用されるでしょう」との見解を示す。

 また、「『画像の保管元とは一切関係ない』と弁解していますが、到底そうは見えない。違法な海賊版をことさら配信している当事者であれば、著作権侵害の責任は免れません」とも。

コンテンツビジネス全般に対する脅威

 福井弁護士は、海賊版サイトは漫画のみならず、映画やアニメなど全てのコンテンツビジネスに対する脅威と指摘する。

 そして、最大の被害者は「読者(利用者)」だと強調する。

 「コンテンツによる正常なビジネスモデルが成立しなくなれば、新たにプロのクリエイターになろうとする人は減少するでしょう。漫画なら、描き方や編集、校閲といったノウハウが霧散するかもしれない。すると、読者は面白い漫画を読めなくなる危険性があります。海賊版の最大の被害者は、実は読者自身なのです」(文化部 本間英士)

 福井健策 ふくい・けんさく。弁護士。1965年、熊本県生まれ。東京大法学部卒、米コロンビア大修士課程修了。93年、弁護士登録。「骨董(こっとう)通り法律事務所」の代表パートナーや、日大芸術学部客員教授などを兼任。主な著書に「『ネットの自由』vs.著作権」「18歳の著作権入門」など。

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  • 著作権法に詳しい弁護士の福井健策さん(本間英士撮影)