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150平方メートル以下は喫煙可 禁煙推進は本当に飲食店を廃業に追い込むのか まとまらない受動喫煙対策

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150平方メートル以下は喫煙可 禁煙推進は本当に飲食店を廃業に追い込むのか まとまらない受動喫煙対策

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 他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙対策を強化する健康増進法の改正論議が一進一退だ。飲食店内は原則禁煙(喫煙専用室設置は可)、店舗面積30平方メートル以下のバーやスナックに限り喫煙を認める厚生労働省の当初案が、飲食店が廃業に追い込まれるという理由で、既存飲食店150平方メートル以下で線引きされようとしている。

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 そもそも、健康被害の恐れがある問題を、既存飲食店の既得権益の問題として議論することに、違和感を覚える。健康被害の恐れがあるのでその食品を摂取したくないと思っている人に、既得権益を守るために摂取せざるを得ない状況を認めろと言っているようなものだ。

 個人の嗜好(しこう)の良しあしの問題に踏み込むつもりはない。個人の嗜好は個人が楽しめる場所で享受すればよい。しかし、それが公共の場で行われて他の人にネガティブなインパクトを与えるのであれば、制限されることは当然だ。公共の場で、公共の福祉が優先されることに異論を持つ人はいないだろう。

 飲食店が廃業に追い込まれるから、喫煙を認める線引きを緩めるということだが、禁煙で売り上げは落ちると決めつけていないか。海外では売り上げが伸びたケースもあるという。ホテル予約の際に残り少ない空き室が喫煙ルームだった経験を何度もしていることを踏まえると、禁煙推進が飲食店ビジネスを悪化させるとはかぎらないのではないか。

 日本たばこ産業(JT)の平成29年の「全国たばこ喫煙者率調査」によれば29年の成人喫煙率は男性28.2%、女性9.0%で、10年前と比べると男性が12.0ポイント、女性が3.7ポイントも減少している。男性の喫煙率はこの20年で半減。禁煙で売り上げが落ちるのではなくて、喫煙人口の減少で売り上げが落ちるのだ。増大している禁煙者ビジネスは伸展するトレンドにある。

 だとすれば、喫煙を認めることで150平方メートルの飲食店を保護することは、飲食店のビジネスにネガティブなインパクトを与えることになりかねない。廃業する恐れがあるから現状維持を図るために保護しているつもりが、保護することでビジネスの減速に加担しかねない。少なくとも、禁煙推進に伴うビジネス変換の機会を損ないかねない状況に、追い込んでいるようにみえる。30平方メートル以下の飲食店で全面禁煙によりビジネスを大伸展させた実例をモデルとして言いはやすこと。これが受動喫煙対策の議論を合意形成していくための早道である。