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【野口裕之の軍事情勢】在韓米軍高官は韓国を信用せず 文在寅氏&習近平氏&キッシンジャー氏の夢「在韓米軍撤退」

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在韓米軍高官は韓国を信用せず 文在寅氏&習近平氏&キッシンジャー氏の夢「在韓米軍撤退」

野口裕之の軍事情勢更新

 結局、戦時統制権は李明博政権→朴槿恵政権と、歴代保守政権で延期が繰り返された。が、盧武鉉大統領と同じく、文在寅大統領にとって戦時統制権返還は米国との駆け引きの道具に過ぎない。文氏は在韓米軍撤退を見据え、着々と準備を進めている。

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 しかも、師であった盧氏の失敗に学んだ弟子の文氏は、「在韓米軍撤退と撤退に伴う対策の研究」を命令し、慌てた韓国軍合同参謀本部が「戦時作戦統制権の返還」へと盧武鉉政権時と同様、再び巧みにすり替え、上申しようとも、確実に看破しこれを却下。在韓米軍撤退へのカジを固定する。

 既に、在韓米軍撤退に向け、静かに、不気味に韓国の極左化が始まっている。最終着地点は、在韓米軍撤退(=米韓同盟崩壊)後の北朝鮮との「合併」だ。

米韓協議の前に韓中協議で決定する危なさ

 7日の米韓首脳共同記者会見で、トランプ大統領が「アメリカは必要なら、比類なき軍事力を行使する」と述べたのとは対照的に、文在寅大統領は平和的な解決を目指す姿勢ですかさず“反論”した。北朝鮮に対して、安倍晋三首相とともに軍事攻撃も除外せず「圧力」を強め続けるトランプ大統領と、共同会見で「対話」を連発した文氏との戦略レベルの認識ギャップは繕っても繕いきれていないほど大きい。

 当然だ。韓中間の安全保障関係の深化を観測すればもはや、北朝鮮や中国に備えた「日米韓の連携強化」といった常套句はほころび始めているのだ。

 9月末、韓国は中国の「関係改善の3条件=3つのノー」要求をほぼ無条件でのみ、ほぼ満額回答で応えた。

 すなわち-

 (1)米国のミサイル防衛システムに加入しない。

 (2)日米韓の安全保障協力は軍事同盟に発展しない。

 (3)北朝鮮・朝鮮人民軍の核・ミサイル攻撃などより韓国を守る米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)システムの追加配備をしない。

 関係者の間では、満額回答が「韓中経済の仕切り直しのため」との指摘もある。

 確かに、中国はTHAADシステムのレーダーが北京・天津の手前まで覗けることで配備に猛反発。意図的に韓国への旅行客を制限し、韓国系企業の経営妨害まで行った。こうした嫌がらせを中止したいとの思いはあるだろう。

 中韓通貨スワップ協定の延長も確約させたいはず。

 もちろん、かくなる指摘は甘すぎる。

 《米国のミサイル防衛システムへの不参入》や《将来的な日米韓の安全保障協力体制》といった国運を問われる戦略レベルの重大課題を日米に相談もしないで、独断で決めるのは国際のルールを無視している。

写真ギャラリー

  • 7日、トランプ米大統領(左)との会談を終え、記者会見する韓国の文在寅大統領=ソウル(共同)
  • 共同記者発表で、硬い表情のまま中国の習近平国家主席(右)と握手するトランプ米大統領=9日、北京の人民大会堂(共同)
  • 平成15年6月の来日時に国会で演説した韓国の盧武鉉大統領(当時)
  • ヘンリー・キッシンジャー氏(2009年撮影)
  • 平壌駅前に掲示された大陸間弾道ミサイル「火星14」の発射実験の写真=10月10日、平壌(共同)
  • 大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」型の第2回試射=7月28日(朝鮮中央通信=朝鮮通信)
  • 2015年3月25日、ソウル北部で合同演習に臨む米韓両軍兵士(AP)