産経ニュース for mobile

【河崎真澄のチャイナウオッチ】中国5000万人LGBT社会の苦悩 「秩序乱す」ここにも中国の人権抑圧

記事詳細

中国5000万人LGBT社会の苦悩 「秩序乱す」ここにも中国の人権抑圧

河崎真澄のチャイナウオッチ更新
上海市内で行われた「同性愛親友会」の集いで「出櫃(カミングアウト)」をめぐる体験談に聞き入る中国の同性愛者や家族ら=7月8日(上海支局撮影) 1/4枚

 同性愛など性の多様性をもつ「LGBT」は、中国で5000万人前後にのぼるとされる。その中国で、「出櫃(チューグイ)」=カミングアウトは、常に大きなリスクをともなってきた。社会での理解が進んでいないうえ、政権は「秩序を乱す」として抑圧する構えをみせているためだ。テレビ番組や映画に加え、ネット上でもLGBTを肯定する表現が禁じられ、人権抑圧の動きが強まっている。一方で、台湾では今年5月、「憲法裁判所」が同性婚を認めない現行法を違憲と判断。中国のLGBT社会からは、台湾をうらやむ声も漏れる。

<< 下に続く >>

家族総出で押さえつけ

 「自分が同性愛者と気づいてから何年も悩み、すがる思いで打ち明けた母親は激しく取り乱し、家族総出で僕を押さえつけて精神疾患の病院に連れて行ったんだ」

 上海市内で7月に開かれた「同性愛親友会」の集いで、29歳の中国人男性は、こう打ち明けた。「一人っ子の自分が子孫を残さなければ、一家の破滅だとののしられた」という。

 中国で「出櫃」は大きなリスクをともなう。過去には、表面化しやすかった同性愛者の場合、1997年まで「流氓罪」という“ならず者”と同じ犯罪者と扱われ、2001年まで「精神疾患」として強制治療の対象にされた差別社会。いまも同性婚は認められず、LGBTへの理解も進んでいない。

 中国では同性愛者やLGBTを「同志」とよぶ。かつて中国共産党の党員らが互いを呼び合う敬称として使った「同志」だが、台湾などで俗語として使われるうち、いつしか中国でも広がった。

 台湾では5月、憲法裁判所に当たる司法院大法官会議が、同性婚を認めない現行民法は「違憲」に当たるとの判断を示し、2年以内の法改正か関連法制定を求めた。今後、アジアで初めて同性婚の合法化が台湾で実現する見通し。

台湾がより優れている

 台湾の動きとは逆に、中国ではLGBTへの締め付けが進行中だ。中国政府は昨年3月、テレビ番組でのLGBT描写を禁じ、「同志」への検閲を強め始めている。映画にも検閲が広がり、さらに今年6月にはネット視聴のソフトでも同性愛などの自由な表現を禁じる「ネット視聴コンテンツ審査規則」が通過した。

写真ギャラリー

  • 中国の同性愛者と家族で組織する「同性愛親友会」が、「同志」と呼ばれる同性愛に対する認識を深めてもらおうと作成したパンフレット。同性愛の家族をもった人たちの体験談や、本人と家族に向けたメッセージなどが記載されている(上海支局撮影)
  • 6月、中国・上海で、LGBTの権利擁護のためのランニング・イベントの参加者ら(ロイター)
  • 5月24日、台北でLGBTの権利擁護に関連した司法判断に歓声をあげる若者ら(AP)