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【櫻井よしこ 美しき勁き国へ】小池百合子知事の姿が菅直人元首相とつい重なってしまう 豊洲移転の政治利用は許されない

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小池百合子知事の姿が菅直人元首相とつい重なってしまう 豊洲移転の政治利用は許されない

櫻井よしこ 美しき勁き国へ更新
櫻井よしこ氏 1/1枚

 東京都知事の小池百合子氏がまたもや新しい組織「市場のあり方戦略本部」を立ち上げ、今日が初会合だそうだ。既に立ち上げている「市場問題プロジェクトチーム」や土壌汚染対策などを検討する専門家会議の意見を踏まえて「(豊洲への移転可否の)総合的な判断につなげる」とのことだ。

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 氏を見ていると、私は、3・11における民主党(現・民進党)の菅直人氏を、つい、思い出す。原発事故で放射能問題に直面した福島県に関して、菅氏らは「安全と安心」を分ける科学的手法をとらなかった。住民の安心のために年間被曝(ひばく)1ミリシーベルトを超える地区はすべて除染するという厳しすぎる基準を設定した。

 いま、福島県立医科大学助手の宮崎真氏、東京大学教授の早野龍五氏が英国の放射線関連のサイト「Journal of Radiological Protection」に寄稿した論文が全世界の注目を集めている(3月25日号「週刊ダイヤモンド」)。同論文では福島県での年間外部被曝の基準が実態よりかなり大きく見積もられていた、つまり、政府の安全基準は無意味に過剰に設定されていたと、指摘されている。

 それで住民の健康や幸福はよりよく担保されたのか。否だ。1ミリシーベルトを超える古里は危険だと思い込み、避難生活を続けた結果、震災関連死者が2086人にも上るなど、明らかに逆だった。

 安全と安心を混同し、3・11を原発反対という自身の政治目的にも利用したとみられる菅氏と、豊洲問題で議論を提起し続ける小池氏のイメージが重なると私が感じるのには、以下に記す理由がある。

 小池氏は昨年8月2日に知事に就任、同月31日、安全性、事業費、情報公開の3つの問題の解明が必要だとして、豊洲への移転延期を発表した。後日、小池氏はさらに(1)豊洲の建屋の安全性(2)豊洲の地下が盛り土されずに地下ピットになっている区域での揮発性ガスの危険性(3)地下水の安全性-に疑問を呈した。

 事業費や情報公開についての氏の疑問はまっとうではあるが、すでに百条委員会が設置され、石原慎太郎氏はじめ各氏への証人喚問も行われた。喚問で全ての疑問が解明されたとは思わないが、そのことが移転中止の決定的要因になるのか。なるとしたら、小池氏は、豊洲移転を許容できない理由を明確にすべきだ。

 安全性の問題は小池氏が挙げた3点とも重なるが、これらは解決済みではないか。

 (1)は昨年12月末に検査済み証が交付され、建物の安全性は確認された。(2)は換気すれば問題なしとの調査が発表された。この点と(3)の地下水汚染に関して、産業技術総合研究所名誉フェローの中西準子氏はじめ専門家らは小池氏の姿勢に疑問を呈している。