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【スクリーン雑記帖】「この世界の片隅に」をめぐる“国旗”論争 政治的意味合いを回避したあるセリフとは

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「この世界の片隅に」をめぐる“国旗”論争 政治的意味合いを回避したあるセリフとは

スクリーン雑記帖更新

 こうの史代の同名漫画をアニメ映画化した「この世界の片隅に」の評判がいい。全国映画動員数ランキング(興行通信社調べ)によると、公開2週目も10位を保ち、週末動員(19、20日)は前週比124%の11万7千人に上った。このため、公開時に63館だった上映館を26日から78館に拡大した。大ヒットとなったランク1位のアニメ映画「君の名は。」は大手映画会社の東宝グループの力もあり、上映館が約300館とけた違いだが、「この世界の片隅に」も健闘しているといっていいだろう。

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 好評な理由の一つが、ヒロインの「すず」の声を、久しぶりに仕事復帰した女優の能年玲奈改め「のん」が担当していることだ。すずは広島市生まれで、絵が得意。昭和19(1944)年に、広島から20キロ離れた呉に18歳で嫁ぎ、戦況が進む中で日々の食卓を作り出すための工夫を凝らす。のんにはもともと絵心があり、裁縫も得意とあって創造的なところがすずの人物造形にピッタリ。さらにマイペースな面も、いつものほほんとしたすずと重なる。

 のんの出世作、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」のヒロインをもほうふつとさせ、ツイッターには「すずさんは完璧にハマってたね。というか生きてた。あまちゃんといい、奇跡的ハマリ役をそう何度も引けるもんなのかな?」「『あまちゃん』に匹敵する彼女の代表作になると思う」といった声が寄せられている。

 映画は後半、日本海軍の拠点だった呉が何度も米軍の空襲を受け、すずが庭先から毎日眺めていた軍艦が炎を上げる。そして20年の夏。映画では広島に原爆が落とされたことが暗示され、玉音放送を聞いたすずが激高する。

 ここで一瞬、町なかに韓国国旗の太極旗のような旗が掲げられるカットがあるのが気になった。原作を読んでみると、同じような旗が立っている一コマがある。実はいま、この旗をめぐってネット上で論争が起きている。

 旗の意味について、ネットでは「現地に住んでいた朝鮮人が、ついに植民地支配から解放されるという意味でかかげたもの」という意見もある。原作の漫画にも旗の描写の直後、すずが「暴力で従えとったいう事か。じゃけえ暴力に屈するいう事かね。それがこの国の正体かね」というセリフが書かれている。

 ところが映画では「暴力で従えとった」の部分が省かれていた。逆に、原作にはないセリフとして「海の向こうから来たお米…大豆…そんなもんでできとるんじゃなあ、うちは」が追加されていた。

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  • のんがヒロインの北條すずを好演した「この世界の片隅に」
  • のんがヒロインの北條すずを好演した「この世界の片隅に」
  • のんがヒロインの北條すず(左)を好演した「この世界の片隅に」
  • のんがヒロインの北條すずを好演した「この世界の片隅に」
  • のんがヒロインの北條すずを好演した「この世界の片隅に」
  • のんがヒロインの北條すずを好演した「この世界の片隅に」
  • 広島・呉に嫁入りするヒロインの北條すず(のん)=映画「この世界の片隅に」から