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【生前退位 私はこう思う】典範改正は危険、摂政が最善 上智大学名誉教授・渡部昇一氏

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典範改正は危険、摂政が最善 上智大学名誉教授・渡部昇一氏

生前退位 私はこう思う更新

 天皇陛下は本当にご誠実なお方だ。今回のお気持ちご表明を受けて、改めてそう感じた。陛下はこれまで、象徴としての天皇の在り方を、自らの行為で示されてきた。被災地をお見舞いにいらっしゃるとき、腰をかがめ、ひざまずいてお話になる。私も80歳を超えているので分かるが、そのようなことはなかなかできるものではない。さぞおつらいでしょうと、心配になる。そうした陛下の優しいお気持ち、誠意のあるお姿は、国民にとって、大変ありがたいものだ。

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 しかし、私としては、お体に差し障りのない形で、陛下が国民のためにお祈りし続けてくださるだけで、天皇の象徴としての役割は十分に果たせるのではないかと思う。国民、そして国のためにお祈りすること、つまり祭祀(さいし)が象徴天皇の中心的な役割であり、災害のたびに国民の中に自ら降りていくということは、本来その姿ではない。

 あえて言わせていただくならば、陛下はお優しすぎるのではないか。そこまで心配なさらなくても、国民は十分に天皇の象徴性を感じることができるはずだ。

 では、具体的にどのような道があるのか。私は改めて、摂政を置くことをご進言申し上げたい。今回、陛下は摂政について否定的なお考えを示されたが、それは、天皇として、被災地お見舞いなどのお姿を示され続けることへの強い責任感からではないだろうか。私は、摂政を置くことに何ら問題はないと考えている。難しく考える必要はない。前例に倣えばよいのだ。

 摂政は、大昔から継承される伝統的な制度である。遠い例では、聖徳太子が推古天皇の摂政を務めている。また、昭和天皇の前例もある。大正天皇がご病気のために皇太子裕仁親王(後の昭和天皇)が摂政になられた。その例に倣い、皇太子殿下に摂政となっていただき、公務に出ていただくということでよいのではないか。天皇陛下にはゆっくりとお休みになっていただきたい。今、皇室典範に安易に手を加えることは危険だ。元来、皇室典範は皇室の憲法であり、その一条一条が日本の政治家や学者が徹底的に議論を重ね、明治天皇のご臨席の下に定められたものである。摂政についての考え方が示されているということ、また、その逆に譲位に関する記述がないということも、明治天皇のご意思であり、日本の歴史と伝統を踏まえたものであると考えるべきだ。

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