産経ニュース for mobile

【ワールド・インタビュー】武藤正敏・前駐韓大使「まず10億円を供出すべき。慰安婦像撤去はその後求めればよい」

記事詳細

武藤正敏・前駐韓大使「まず10億円を供出すべき。慰安婦像撤去はその後求めればよい」

ワールド・インタビュー更新

 韓国で4月13日に行われた総選挙で与党、セヌリ党が惨敗した。朴槿恵大統領の支持率も29%(韓国ギャラップ4月22日発表)と、前週より10ポイント急落して就任後、最低となった。求心力を失った朴大統領の政権運営に影響はないのか。昨年末の「慰安婦」合意の履行や軍事情報を交換する際の手続きを定めた「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」の早期締結など、日韓間に横たわる問題は解決するのだろうか。武藤正敏・前駐韓日本大使(67)に聞いた。

<< 下に続く >>

 --与党が惨敗したが、今後どんな影響が出るのか

 「選挙に強く『選挙の女王』と呼ばれた朴槿恵大統領が、総選挙でこれだけ大敗するということは、やはりレームダック(死に体)化は避けられない。それでも韓国大統領の権限はそもそも相当に強い。国民もみな大統領には一目置いているし、やり方次第ではある程度、支持率の回復は可能ではないか。もっと国民と対話して、国民生活に密着したところで支持率アップの努力をしていくべきだ」

 --死に体化している大統領が日韓「慰安婦」合意を履行できるのか

 「総選挙でも争点にならなかった。韓国にとって他にオプションはないのだと思う。昨年末の日韓『慰安婦』合意を、米国が歓迎した。ここであの合意をほごにしたら、米国から『韓国はなんだ』と非難されるだろう。北朝鮮情勢が緊迫している中、中国は頼りにならないし、日米韓3カ国が協力していかなければいけないことは分かっていると思う」

 --合意については、韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)などが強く反対しているが…

 「印象的だったのが、今回の合意を、朴槿恵大統領自身が説得しようとしていることだ。合意の無効を訴える挺対協や再交渉を強く求める野党に対し、大統領府は『今回の合意は最善を尽くした結果であり、これを無効といえば、今後どの政府もこうした難しい問題には手を付けられないだろう』と反論した。韓国の世論も『合意に満足しているわけでないけれど仕方ない』という雰囲気になっている」

 --元慰安婦の中には合意を受け入れないという人たちもいるが…

 「元慰安婦支援施設『ナヌムの家』に身を寄せる元慰安婦の中には『合意を受け入れる』と言った人たちもいた。その後、周りから引きずり下ろされて発言を撤回している。ナヌムの家に暮らす14人は絶対合意を受け入れないだろう。韓国政府が、韓国に在住する他の元慰安婦18人に直接説明したところ、自分の意思表示ができる人14人は合意を受け入れると言っている。残り4人はすでに自身で判断できなくなっている人々だった」